徳川名参謀シリーズ、9代家重です。
出たっ出た出た、家重
気になる将軍ランキング、堂々の一位ですね
言語障害、9代家重は女性?
大岡忠光
家重と言えば、大岡忠光
まあ、そうなりますよね。
今までの名参謀とは、全く意味を異にしますけど。
正直、名参謀シリーズをやろうと思ったのも、大岡忠光の事を調べたくなったから。
どんな人なのよ、この人。
通訳です。
老中とかにはなっていなくて、若年寄から側用人になった。
何をしたかと言われても
通訳。
なんでじゃあ名参謀シリーズに入ってくるかというと
家重の特殊性にあります。
通訳っていったいなんなのよ
家重って外人さん?
言語障害なんです。
言っていることが全く聞き取れない。
唯一聞き取れるのが、大岡忠光。
だから、通訳。
ということはですよ
大岡忠光が言っていることが正しいかどうか自体、誰にも分からない。
上様はこう言っておられます。
と、自分が言いたいこと言えば良いわけですよね。
神の言葉が分かると言い張る、教祖様に近いところがあるから
やりたい放題。
大岡忠光が、もしよこしまな心を持ったおかしな人だったら
ここで、江戸時代が終わっちゃっていたかも。
絶体絶命のピンチ
今までの名参謀って
仕事が出来る人ばかりだったから
大絶賛される一方、
妬みから、悪くいう人も少なからずいた。
でもなんと
大岡忠光に対してはただのひとつもそういう資料が残っていない。
心底、いい人だったんですね。
助かったぁ
最初
最初は吉宗に見出だされ小姓になる
10代前半。
その後、家重のお世話をするようになる。
どんどん出世はしていって
最終的には2万石の岩槻藩の藩主
出世の仕方というか
人生の考え方生き方というものが
他の名参謀さんたちとはちょっと違う
目立たず、でしゃばらず。
ひとの気持ちの分かる人なんでしょうね。
仕事が出来るというニュアンスも
ちょっと違っていて
みんなに好かれて、誰かが引き上げてくれる。
大岡忠相との関係
あれ 間違えてんじゃない
と思いませんでした?
名前が似ているから、大岡越前守忠相と間違われやすい。
忠相は超有名人ですからね。
家族なの?
いえいえ
兄弟でも親子でもない。
遠い親戚。
ただ、同じ時代を生きた遠い親戚だから
親しくはしていた。
大岡忠相は大岡忠光にいろんな一身上の相談をしていたらしい。
よっぽど好い人だったんですね。
藩主として
中央では、でしゃばらずで通した、忠光も
岩槻藩の藩主としては
色んな事をしたようです。
農業政策や福祉。
木綿や砂糖、梅といった色んな産業を奨励、推進。
70歳以上の方にはもれなく交付金。
自分としてのやりたいことも
ちゃんと持ってたんですね
何故聞き取れるの?
家重の言葉が一人だけ分かるということも
声を聞き取る技術というよりは
ひとの気持ちを理解できる、という事なのかな
こんなエピソードがあるんです。
お出掛け
ある時、家重がお出掛けしなければならない用事が出来た。
逆に忠光はお出掛けできない用事が出来た。
家来の何人かと出かける訳ですが
えらいこっちゃ、どないしょ
コミュニケーションの取れないトップと、出掛けないといけない
気まづさが延々と続くに決まってます。
地獄絵図ですね。
案の定、家重が何かを訴えかけるんですが
何を言いたいのか、誰ひとり分かりません。
こうですか、ああですか
色々問いかけるんだけど
全て首を横に振る
家重のイライラが頂点に
うんうん唸ります。
忠光忠光と言っているとしか思えません。
もう限界、耐えられない。
忠光のところに使いをやらします。
これこれこうで、ああでこうで
あっそれならね
寒いから上着を着せてくれと言っているんだよ
えっ、そうなの?ホント?
聞いてないのに分かるの
大丈夫、間違いないと思うよ。
ホントかなあ。
半信半疑で家重のところに戻り
上着を着せてあげる
うんうんうなづき
上機嫌でご満悦。
助かったぁ
離れていても以心伝心。
まだしゃべれない赤ちゃんの気持ちが
お母さんなら分かる、ってのと同じかも
webで大岡忠光の事を調べていると
こんな風に書いている記事があった。
障がい者にある程度の期間以上
真剣に関わった事のある人なら
ピンとくる筈
最初は全く何をして欲しいか分からないんだけど
分かるようになるんだって。
家重の事をどうみるかですね
吉宗の長男だというだけで、将軍になっちゃった
暗愚な厄介者
大岡忠光だけは違っていた
真剣に向き合い、愛すべき友だった
ひょっとするとそれだけのこと。
真剣に向き合ったのが、忠光だけだったということ。
イサーク・チチングが、著書『将軍列伝』の中で書いている。
家重は大岡出雲守(大岡忠光)という真実の友を持っていた。
死
家重より忠光の方が先に死んでしまいます。
家重はどうしたか
将軍を引退
息子の家治に譲る
家重としてはどうしようもなかったんでしょう。
いっぱいは無理なので、
ひとつだけ、家治に申し送り。
自分が抜擢した、 田沼意次を使うように。
なかなかどうして暗愚ではなくて、物事の本質がわかっていたようです
その一年後には後を追うように、自分もこの世を去ります。
幸せ
障がいを持って産まれてしまった将軍
癇癪持ちだったとは言われているけど
忠光といるときだけは、笑顔で居られたんじゃないかな
「将軍としての扱い」としてしかしてもらわれず
終始顔色を見られ、おべんちゃらを言われる
普通の将軍より
人間として真剣に向き合ってくれる親友を得た家重
幸せな生涯だったのかも知れません
他の名参謀とは
あまりにも意味合いが違うけど
出来そうで出来ない
人間として当たり前の事をやり遂げた
大岡忠光ここにあり