短い挨拶、大歓迎

金田一春彦先生の「美しい日本語」から

短い挨拶で金田一先生が感銘を受けたもの。

よく朝礼とかで長い挨拶をされたとき
貧血でバタバタ倒れる人がいましたね。

何かいな、軟弱な
と思っていましたが
不思議なことに
自分の体質が変わってしまったのか
数年後、自分も倒れるようになってしまった。

こうなると、急に、倒れる人の気持ちが分かるようになり

全面的に長い挨拶をする方が悪い!
長い挨拶は、国民の敵。

ゲンキンなものです。

時枝博士
東大の国語学、時枝誠記(ときえだもとき)教授
結構独自性の強い論を展開するので
時に批判の的になるタイプ。

研究発表会なる会合があって
時枝教授は、一般の学者が発表したあと
閉会の辞を担当する段取りになっていた。

司会進行は、若き日の金田一先生

発表の中で、
これは、時枝教授を批判しているでしょう
というのがいくつかあった。

さあ、閉会の辞。

言っちゃってるよ
どうするよ。

みんな唾を飲み込んで
どんな反論を言われるのか、
爆発を怖れる。

「今日は色々な有益な発表があった。色々な意見が出ることは、
学問の進歩のために誠に喜ばしい。」
ということを、しっかりとした口調で手短に述べた。
そこで、司会進行の金田一先生の方に向き直す。

「これは閉会の辞でしたね」
「そうでしたが」

聴衆はクスクスっ

聴衆に向き直し

「というわけで、これをもって閉会の辞と致します。
立派な研究会が出来たことを、御礼申し上げます。」

降壇

一堂大拍手。

見事ですね。
一本取られた!です。

司会者とのやり取りがなく、
単に短い挨拶なら
いかにも、
逃げたな、の印象。

それに変化をつけ、
唾を飲み込んでいる聴衆の肩の力を抜かせ
さらに、唐突な閉会宣言に納得感を持たせる

計算尽くされた、かわしかた。
さすがは国語界の権威です。

ケネディ大統領の弟
アメリカからケネディ大統領の弟が、日本視察の目的で来日した。
その都度受ける記者達の質問にも、自分のハッキリした意見をズバズバ言って
こりゃ日本の政治家とはえらい違いだぞと。

日本を離れる時に、ケネディを送る会というのが開かれた。

その席で行われたスピーチ。

私は、日本に来て、日本では風呂に入るとき、
親子兄弟みな同じ風呂に入るという話を聞いて
私も日本人に生まれれば良かったなあと思いました。
そうして
マリリンモンローが私の妹だったら、どんなに良かったろうと思いました。
以上。

大拍手。

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