[百人一首]62 番外編 清少納言の背景

百人一首第56首から始まる、中宮彰子に仕える超豪華メンバーシリーズは、前回で終了しましたが
超豪華という意味では、今回の清少納言まででしょう。

それ以外の人から怒られそうなので、
超有名人という意味にさせてください。

本来、清少納言の歌を紹介して
となるところなんでしょうけど
今回調べてみると
それだけじゃ勿体なさ過ぎる

それだけじゃなく
歌だけを純粋に読むと
特に、ライバル紫式部との対比で読んじゃうと

紫式部の控えめな性格に対して
清少納言は勝ち気で、知識をひけらかし
男をやり込める
って感じで読めちゃう。

背景が分かってくると
なんか違うぞと。

紫式部の「もののあはれ」に対して
清少納言の「をかし」ってなんなのか

前置きをちゃんとしてから
解説したくなりました。

今回、その背景について
次回、枕草子について

サロン
清少納言は、中宮彰子(ちゅうぐうしょうし)に仕えていたのではなく、
中宮定子(ちゅうぐうていし)に仕えていた。

当時、女性達のハイソサイアティのサロンが3つあった。

選子内親王(せんしないしんのう)を中心にしたサロン
話がややこしくなるので、ここは一旦省略。

中宮彰子を中心にしたサロン
これが、前回までの6人ですね
和泉式部、紫式部、紫式部の娘の大弐三位、赤染衛門、和泉式部の娘の小式部内侍、伊勢大輔

そして中宮定子を中心にしたサロンです。
清少納言です。

中宮彰子に比べ、中宮定子は有名人は一人なんですね。
はい、なぜそうなのかは理由があります。

一条天皇
人物関係を整理しましょう。
中宮定子と中宮彰子は、いとこ同士で、かつ両方とも一条天皇の奥さん。
中宮定子のお父さんは藤原道隆(みちたか)。

第54首の
忘れじの 行く末までは かたければ
今日を限りの 命ともがな
の 儀同三司母(ぎどうさんしのはは)は藤原道隆の奥さんで、中宮定子のお母さんです。

道隆は娘を天皇の奥さんとする、政略結婚で、自分の権力を確固たるものとするんですね
藤原一族の常套手段です。
なんと、一条天皇10歳、定子が13歳です。
はっきりいって二人とも子供です。

さあ、道隆の栄華。の筈でした。
ところが、道隆は若くして、病に倒れます。
この先長くないと悟った道隆、関白を息子の伊周(これちか)に譲ろうとします。

ところが、伊周、意外に器のちっちゃい男で
細かな問題をいくつか起こし、一条天皇に嫌われちゃいます。
関白の座は道隆の弟の道兼へ
ところがなんとなんと、道兼、10日で死んじゃいます。

よっしゃ、それじゃあまた伊周。になりそうですが
さらに弟に道長がいたのです。

ここで、激烈な後継者争い
伊周は道長に色んなところで追い抜かれ
逆ギレしてある事件を起こし、太宰府に流されてしまいます。

定子の凋落
定子は、親の道隆あってこそ。
道隆が死んだあとは、伊周しかよりどころがないんですが
まさかの自滅。

もはやここまでと悟り、出家してしまいます。

ひとつ、ここで大きな間違いをしています。
実は、政略結婚とはいえ、
一条天皇は、定子を心の底から愛していた。

堂々としていれば、何とかなったのに。
そして、定子はこの時、一条天皇の子供を身ごもっていた。

出家した人は天皇の后とはなれません。

愛する定子よー

ここを見逃す、道長ではありません。

奥さん、出家しちゃいましたね
じゃあ、新たな奥さんいりますね。
いい人いますよ。

自分の娘、彰子を奥さんに送り込みます。

一条天皇っていい人なのかもしれません。
もちろん彰子もなんでしょうけど

一条天皇は、彰子の事も愛します。

でも、自分が死ぬとき、定子の事を歌に歌っていることを考えると
定子の事が忘れられない。
子供の頃から夫婦として一緒に生活している訳です。
これは、やっぱり特別でしょうね。

そして、やっぱり大きいのが自分にとって初めての子供。

で、一条天皇どうしたか
とんでもないルール破り。

定子を呼び戻し
宮中に住まわせてしまう。

ただ
えっ、あそこ?
って驚くほど、ボロいところだったらしいので
大反対されたみんなに遠慮したのかも知れない。
もちろん彰子にもね。

二人目
定子に会いに行くときは、夜中にこっそりと行ったらしいので
一条天皇も大変です。

でも頑張りました。
二人目を身ごもった。

出産の時は宮中を去らねばいけません。
当時、出産=けがれ

その間、大進生昌(だいじんなりまさ)
っていう人のところに身を寄せるんですが
その時の話なんかは、枕草子に面白く書かれています。

彰子と定子
彰子と定子どっちが好き?

うーん。

本人同士の頭のキレ具合で言うと
彰子も悪くはないんですが
定子はすごかったらしい。
打てば響く。

清少納言は、実は定子より年上なんですが
枕草子の中で、定子をべた褒めしている。

おそらく、道長はそれを気にして
彰子のところに
紫式部を始めとした超豪華メンバーを探してきては送り込む。
そのみんなを全て輝かせる事が出来る彰子は
それはそれですごいなぁと思います。

定子は横目で
道長と彰子の栄華を見ながら
一条天皇の愛だけを頼りに暮らしていく。

でも
何がすごいって
枕草子に、敗者の悲哀さがないんです。
「をかし」

「をかし」って
学校では現在の「おかしい」とは全く違っていて
と習ったけど
やっぱり「おかしい」に通じると思う。

いいじゃない
笑い飛ばしちゃいましょう
って明るさ。

一方で、勝者たる彰子だけど
考えてみると

周りにどれだけすごい人たちがいて
それは、毎日刺激に満ちているだろうけど
手に入らないものなんて無いように思うけど。

一条天皇だって愛してはくれるし
自分との間にも子供も出来るけど

宮中に元の奥さんがいるのよ。

すごいなあ、と思うのが
一条天皇の気持ちを汲んで
自分の子供より
定子の子供を立てようとしたりする。

どっちも魅力的だなぁ

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