[天皇]20 安康(あんこう)天皇。衣通姫の禁断の愛。

天皇シリーズ20人目となります。

曙光(しょこう)の大王(倉田美恵子作)という本を読みました
雄略天皇の物語です。

前半は、その少し前、允恭(いんぎょう)天皇と安康(あんこう)天皇です。

とても面白い説に基づいています。
允恭天皇は、天皇の直系ではなく氏族の王でもない。血が繋がっていない氏族の王の娘婿にすぎない
すごいじゃないですか
もうこの時点で万世一系が途切れたことになります。
とても面白いですが、残念!允恭天皇は前回もうやっちゃいましたね。
まるっと省略。

天皇は允恭天皇まで、有力氏族たちが集まって合議制で決めていた。

暗黙のルールで、大阪寄りの茅渟(ちぬ)地域と、奈良寄りの古市(ふるいち)地域から交互に出す。
もめた末に、茅渟の允恭天皇が選出される。

允恭天皇は自分が血が繋がっていないという負い目があるので
逆に強力な地盤作りをしたい
中国に行って、お墨付きをもらう

ところで、衣通姫(そとおりひめ)ですが
前回、日本書紀と古事記で違う話になっていると言いました。
[天皇]19 允恭天皇。衣通姫の愛

この本では、日本書紀の、允恭天皇の皇后の妹としつつも
古事記の、允恭天皇の娘としての話も丸々採用。
「古事記は混同しているようです」
すごいっ。その一言で済ませちゃいました。

基本、この本に基づいて展開していこうと思います。
この本で設定された、人間関係を整理しておきましょう

允恭天皇の皇后との間に、
 穴穂(あなほ)王子(後の安康天皇)と
 幼武(わかたける)王子(後の雄略天皇)
弟姫(おとひめ)(衣通姫)との間に
 軽王子(かるおうじ)と
 軽王女(かるおうじょ)
古事記ではこの軽王女が衣通姫です。

何と言っても弟姫は絶世の美女なので
允恭天皇は弟姫側の、軽王子が可愛い。

何もしなければ自分の死後は合議制で、次は古市の番
強行に出ました。
皆を集めて、次の天皇、即ち皇太子は、軽王子だと宣言
みんなビックリしたが、その場では異を唱えられなかった。

今まで良いバランスでうまく行っていたのに
この事で泥沼の政争劇が始まることになります。

2代目衣通姫(軽王女)
軽王子には、ある噂がありました。
軽王女とただならぬ関係であると。

軽王女は古事記で衣通姫とされているくらいですから、親譲りの絶世の美女
軽王子と度を越えたほど仲が良い

当時、親が違う異母兄弟であれば恋愛も結婚も自由です。
でも、同母兄弟は駄目。近親相関
今って、どこまで駄目なんでしたっけ。

お兄様

姫よ

見つめ合うふたり

その後どうなったのでしょうか

抵抗勢力としては、その事実なんてどうでも良いことです。
噂になっているということで充分

允恭天皇が生きている間は、それでも表面上は何も起こりませんでした。

允恭天皇が亡くなりました。
死後、軽王子が即位しようとしても
なんだかだと理由をつけて即位させてもらえません。

これはまずいと、中国へ行ってお墨付きをもらってきました。
興王
画期的です。
何と、倭の五王のうち、4番目の「興」は安康天皇ではなく、軽王子だと言っています。

即位の礼
お墨付きももらったことだし、
即位の礼を強行してしまおう

当日、抵抗勢力の古市の大草香王子(おおくさかのおおじ)、市辺押羽王子、穴穂(あなほ)王子(後の安康天皇)が欠席

嫌な予感はしましたが、まあいっか

一通りの儀式を終えると、周りに何やらただならぬ気配
気がつくと大勢の兵士に囲まれています。

そして、穴穂王子

軽王子に縄を

どどどどどっ

軽王子は近親相関の罪で捕らえられ、伊与の国へ流罪。

その後、2代目衣通姫は、兄を慕って伊与まで行くことになります。

安康(あんこう)天皇
もう一度いつもの図の方で確認しましょう
宮内庁の作成した家系図ではこうなっています。

安康(あんこう)天皇の在位期間の短さが気になりますね。

さあ、即位した筈の天皇が居なくなりました。
もう後は、力の世界。
以前のように、会議は開かれて、
今度は古市の番なので、古市の大草香王子(おおくさかのおおじ)と決まる
ただ、一回無効になった会議。
誰もその通りになると思っていない。ねじ伏せたもん勝ち

穴穂王子は、最大のライバル大草香王子を潰そうとする
大草香王子は高齢。
眉輪王(まよわおう)という7歳になる息子がいる

自分は高齢なので、息子を天皇として立てて、自分はその後見人になるとか言い出すと
長期政権になってしまう。

大草香王子へと兵を向け、殺した。
息子とともにと思ったのだが
取り巻きが、事態を予想し、眉輪王を遠くに隠してしまっていた。

眉輪王を残した事に大きな不安はあったし、
ライバルはまだ残っているけど、
宣言しちゃったもん勝ち

我こそは天皇なり

みんなは、まあ一旦は良しとしよう。

安康(あんこう)天皇の誕生です。

眉輪王
不安は的中しました。

生き残った眉輪王
7歳ではありますが、起きたことの意味は充分理解できました。

父の敵(かたき)を討つ。

周到に準備
そしてその時がやって来ました。

安康天皇討たれる

またまた、振り出しに戻ってしまいました。

続きはシリーズの次回、雄略天皇でね

[天皇]シリーズはこちら(少し下げてね)

[天皇]20 安康(あんこう)天皇。衣通姫の禁断の愛。」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: [天皇]21 雄略天皇。鉄剣にあった名前は。 | でーこんのあちこちコラム

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です