[首相]18 犬養毅。憲政の神様

首相シリーズ
戦争へ突入していくまでの大きな転換点となります。

犬養毅(いぬかいつよし)
政友会 首相在位:昭和6(1931)~昭和7(1932)年

犬養は、岡山県に生まれる
犬飼当毅(いぬかいまさき)という名前だったんだけど
犬飼家が、万葉集に犬養と表記されているので、犬養に変え
当毅の当が余分だと、毅に変えちゃった。

そのあと、実家の犬飼家も「犬養の方がかっこいいから」と全員犬養に変えちゃった。

漢文の知識が卓越していて、書は超一流

犬養が言うに
出鱈目(でたらめ)は書の極意

デタラメだったら私も自信があると思ったんだけど
出鱈目とは飾り気のない天真さであり
にじみ出る気韻が必要

うーむ
私からにじみ出ているものは、ただ臭いだけ

尾崎行雄
慶應大学時代に出会った尾崎行雄
生涯の盟友となる

犬養は大学を中退し、新聞社に勤める
尾崎行雄も大学を中退し、別の会社だけど新聞社に。

漢文に長けた犬養は、文章の世界で大きく能力を発揮する。
そのままの道を進んでも良かったんだろうけど
ジャーナリストとして、政治に向き合っていくなかで
政治の世界の方から声がかかる

大隈重信が首相になったとき
慶應の先輩、矢野文雄から、新設の統計院を手伝ってもらえないかと。
ところが、出仕したものの、3ヶ月後に大隈が失脚してしまい、統計院もジ・エンド

ただ、大隈が作った政党、立憲改進党に、矢野とともに入党する
この時、尾崎行雄もジャーナリストから転身し、立憲改進党に入党

以降、犬養と尾崎は、行動をともにすることもあれば
一時期離れる事もあるのだが
悲しいかな、ふたりとも長いものに巻かれる事が苦手
ずっと、くっついたり離れたりの小規模政党を渡り歩くことになる

例えば、尾崎とともに立ち上げた「革新倶楽部」
党首も置かず、党議拘束もないというものだった。

長らくずっと野党だったけど、舌鋒鋭く、国民には人気が高かった。
桂太郎内閣を激しく追求し、退陣に追い込んだ事もある

世論やマスコミから、尾崎とともに「憲政の神様」と呼ばれることになる

第一次護憲運動、第二次護憲運動では中心人物として大活躍
加藤高明、高橋是清と3党党首会談を行い、加藤高明の連立内閣も実現させた。

白林荘
本人としては、充実した人生だったのだろう
よくがんばりました、と
政界の引退を決意

最後の仕事として、革新倶楽部を大政党の政友会に合併してもらう事にした。
自分が小規模政党で苦労し続けてきたから、あとの者たちには苦労させたくなかったんだろう。

長野県富士見高原の別荘「白林荘」で世間との役割を極力断ち、
モンペ姿で腰に花鋏を差し
林の中を散策したり、庭の木々を選定したり
ゆったりと時間の流れる生活を楽しんだ

ところが、引退を惜しむ支持者たちが、選挙で勝手に犬養毅の名を書いて立候補
犬養が知らぬ間に国会議員に復活しちゃった。

そうこうしていると
政友会の総裁にして首相の田中義一が急逝
首相は、立憲民政党に移るのだが
政友会の総裁は誰にする?

すぐに犬養毅の名があがる
最後の最後は合併して大政党に所属しての引退だった訳です。

今、充実してるんだけど。

引き受けるにしても、ごねて色んな条件をつけても良かったんでしょうが
そういうのも性に合わない。
何の条件もつけずに引き受けることにした。

浜口雄幸首相、加藤友三郎首相と続き
かなり経済が厳しい状況の中
政友会に政権が戻ってくる事になった。

えっ、まさかの
ずっと野党だったけど、満足しての人生
引退したあとの付け足しだったはずの人生

首相になっちゃうの?
76歳です。

首相
浜口雄幸首相が金本位制を復活させた。
それ自体は判断を誤っていた訳ではない
世界で孤立しないためには、世界に向けて経済を開いていく必要がある

ところが、時期が悪かった。
ちょうど、世界恐慌が起きてしまった。
経済ガタガタ

もう一度金本位制を禁止した方が良いのだろうか
この難局に対処する方法として、ひとつのイメージを持っていた

あの男にさえ頼めば

ピンポーン
こんにちは

あら、どうされました

頼みがあって来たんだが

高橋是清
すでに引退している

おそらくおっしゃりたいことは想像つきますが
私、引退してましてね

だよねえ
実は私も引退してたんだがね

そう来るわけね
それ言われたら返す言葉がないじゃない。

高橋是清大蔵大臣を迎え、難局を乗り切る

そして、昭和7(1932)年5月15日がやって来ます。

5.15事件についてはとても大きな事件なので
シリーズの次回に、犬養毅その2として取り上げたいと思います。

[首相]シリーズはこちら(少し下げてね)

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