[人類]4 草の舟が完成

[人類]1 日本人はどこから来たのか
[人類]2 ホモサピエンスの世界大拡散
[人類]3 なぜ海を渡る?考えても分からん。
の続きです。


海部陽介先生は、沖縄ルートで自分で渡海して大変さを実感しようとした。
舟をどう作るか

残念ながら、旧石器時代の遺跡から舟が発見されたことはない
植物由来の材料だろうから、時と共に朽ち果ててしまう。
従って少し遠回りをする必要がある

過去の舟の例を時代別に出来るだけ多く集める
そうすると、縄文時代は丸木舟が最高の技術
板を組み合わせた舟はもっと後ということになる
帆についても何千年か前がせいぜいで
3万年以上前ということなら
風を帆で受けるのは考え難く、「人が漕いだ」と考えられる

3つの条件が考えられた
1.丸木舟の技術を超えない
2.その地域(台湾)で手に入る材料
3.海で使われた例がある

3つの候補に絞ってみる。
1.草束舟
2.竹筏舟
3.丸木舟

実際に作りながら、当時の道具で作れるかを実証していく。

作れるとなったら、海に漕ぎ出すぞ

草束舟
葦舟(あしぶね)と呼ばれる事が多い
材料は葦に限らず、浮力のある湿地に生える植物が多く使われる
世界各地でかなりポピュラーに作られている舟

製作道具は貝殻や石のナイフがあれば十分
製作工程としても、草を乾かして編むだけ

実際にヒメガマという植物が採れるので、作ってみよう
日本でただ一人の葦船職人である石川仁さんが指導してくれることになった

みんなでワイワイガヤガヤと楽しい製作作業が始まった

ただ、随所に、専門家でなければ分からないなあと思われるところもあった

草の束を束ねる紐は、トウツルモドキという植物を使った

製作途中で分かってきたのは、とてもキツい作業だということ

ここが、今回のプロジェクトの本質的な部分
舟を作って海を渡らなくても生きていける
なのになぜそんな大変な事をしたのか
イヤならやらなくて良いのだ

ひとつのヒントがみんなの気持ちの中に生まれた。

楽しい
爽快感
出来たときの達成感

ひょっとすると

完成!

海に浮かべてみる

当初の想像、「沈むんじゃないか」を大きく裏切ってくれた

浮力がすごい
さらに安定感がある

いきなり正解かも知れない

とはいえ、海に漕ぎ出してみないとやっぱり分からない。
漕ぐことの大変さも体験しなければ。

本当は台湾から与那国島に渡りたいのだが
いきなり国境越えはなかなかハードルが高いので
まずは与那国島から西表島へ

戦略が練られた
・西表島までの航海は、30時間ほどかかるだろう。つまり必ず夜が一度は来る。
・3万年前にない方位磁石や腕時計やGPSは持たず、
目標の西表島が目視できないときは、風やうねりや星から針路を探る古代航法で挑む。
・草束舟のキャプテンは安全のためにトランシーバーを持って伴走船と通信するが、
緊急時以外で、伴走船から草束舟に位置を教えたり、進むべき方角を指示することはない。
・各艇に乗るのは、男女を含む7人とする。
・旧石器人なら漕ぎ手の途中交替はできないので、それを原則とするが、
念のため伴走船には交代要員の漕ぎ手が控えている。
・潮の流れは北向きの可能性が高く、風も南から北へ吹いているので、
北へ流されることをどれだけ防げるかがポイントとなる。
そこで出航地は与那国島の南側にあるカタブル浜とし、
出航後はできるだけ南東へ船首を向けて、南へ下る。

出発進行ーっ

続きはシリーズの次回ね

[科学]シリーズはこちら(少し下げてね)

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