[百人一首]55 滝の音は~

滝の音は たえて久しく なりぬれど
名こそ流れて なほ聞こえけれ

かつて美しかった滝は涸れ
その音も聞こえなくなってだいぶ経つが
輝かしい名声だけは
変わらず聞こえていることだよなあ。

藤原公任
このあたり、有名人がずらっと並びますよ
藤原公任(ふじわらのきんとう)。巨匠です。

和歌という芸術は、公任により
ひとつのピークを向かえたかも知れない。
というくらいの人

自分が選者となって作った和歌集は数知れず。

歌謡界でいうとスター誕生の都倉俊一、阿久悠というところでしょうか。

古今集時代に出来あがった智巧的表現は、
洗練に洗練をかさね、
これ以上どうしようもないというところまで磨きあげられて、
行き詰まった。

公任は、技巧に走らず、ゆったりと歌い上げようと、方向性を変えた。

まあとにかくすごい人。

三舟の才
道長が大堰川に漢詩の舟、管絃の舟、和歌の舟を出して、
それぞれの分野の名人を乗せて楽しむイベント。

公任さん、どこに乗ります?

そもそも、そういう事を聞かれることはない。
それぞれの道の専門家を集めている訳ですから。

そうでんなあ
和歌の舟にでものりまひょか

小倉山嵐の風の寒ければもみぢの錦きぬ人ぞなき

おおおっ
感嘆の声

でも、本人ちょっと不満

漢詩の舟選んどきゃなあ
もっと、唸らせられたけどなぁ

ちょっと鼻高さん
まあ、実績もあるからね

それから、どんな分野にも秀でている人を三舟の才と言うらしい。

みなさん、どんな3つの舟をお持ちでしょう。

私はどうかな

晴れ男
カミさんの命令に素直に従う
ウォーキング同好会の愉快な仲間たち

こんなんでどうでしょう。

鑑賞
田辺聖子さんがおっしゃるには
こりゃまたなんで、この歌?
公任ならもっと良い歌、いっぱいあるのに

この歌がいまいち、というよりは
それだけ公任さんが良い作品をいっぱい残しているってことなんでしょう。

ひょっとすると、藤原定家は公任があんまり好きじゃないのかも。
公任入れない訳にいかないし、って言ってたらしい。
例によって、配置の妙で
ここに滝は欲しかったらしいので
公任ならどれでもいいよね。はい滝。ってことかも

この滝は、大覚寺の滝っていうことなんだけど
たまたま、同時期に赤染衛門が
同じ大覚寺の滝を歌った歌が残っている。

あせにける いまだに懸かる 滝つせの
早くぞ人は 見るべかりける

うーん、言っていることが分からないけど
これだと、ちょろちょろ流れているんですと。

不思議だなってことだけど

まあ、滝なんだから
たまには流れても良いよね

[徳川名参謀]12 家慶→水野忠邦

徳川名参謀シリーズです。

12代家慶に対する水野忠邦になります。
家慶(いえよし)の話はこちら
12代家慶。ペリーが来たら死んじゃった。

困った
名参謀シリーズを始めて、ずっと、困ったなあ、と思っていたのが
水野忠邦(みずのただくに)

性格的に人の事を悪く言うのが合わない。
良いところを見つけて、そこを中心に、と思ってきた。
たまたま、今までの11人はいい人ばかりで、ほっ

どうするよ。
水野忠邦。

まあ、いっか

水野忠邦
名参謀シリーズの中では珍しい野心家
老中をやりたくて仕方がない。

19歳の時に、肥前・唐津6万石の藩主
水野家の藩祖は家康のいとこなのでなかなかの毛並みの良さ

この唐津の大名は、長崎警護役という重要な役割を持っていた。
ただ、忠邦は、それが気に入らない

そんなのやってたら、中央にいけないやん
江戸から遠すぎ

何とか別の場所にお願いできませんでしょうか

5年後、願いが聞き入れられる。
浜松への転封。

でも、石高少なくなっちゃいますけど。

良いです良いです。全然良いです。

あんた、珍しい人やね。

そして、ようやく西の丸老中に任ぜられる。

次は本丸老中だぞ

天保の大飢饉の一番大変な時期、
一番中心だった水野忠成が亡くなる
その交替要員として、忠邦が本丸老中に。
名前似てるしね。

やりたかったこと
忠邦は松平定信に憧れている。
松平定信が、吉宗に憧れていたように。

松平定信失脚後の、
家斉(いえなり)やりたい放題のぐだぐだ政治が気に入らなくて仕方ない。

いよいよ、本丸老中
ようし、やったるぞ

でも、周りは古参の老中がわんさか。
家斉もバリバリ現役。

辛抱辛抱。

何とか、家斉が引退してくれて
12代家慶に
さあっ

でも、家斉がことごとく口を出します。
家斉派老中たちもまだまだ元気。
家慶もおとなしくしています。
ついたあだ名が、そうせい様。

辛抱辛抱、また辛抱。

でも、来るべき日のために準備をしとこう。

何をしたかと言うと
自分が自由に使える裏金作り。
来るべき日に、その金で忠邦派を形成し、一発逆転。

あれれ
正義感に燃えている筈じゃなかったの?

その4年後、来るべき日が
家斉死去。

家慶、よっしゃあ。
そうせい様返上だ

忠邦くん、知ってるよ
やりたいんだろ。
思う存分やって良いよ。

この日のための、例のものを使って
古参の老中をバッサバッサと切りまくります。

天保の改革
たまったうっぷんを吐き出すがごとく
天保の改革

締め付け、締め付け、また締め付け。

くだくだとは言え
庶民文化としては、大きく華開いたのが家斉の時期。
文化、文政という年号から、化政文化というんだけど
北斎を始めとして、有名どころはほとんどこの時期
時代劇でも、特にことわりがない限り
化政文化の時期を前提にしているらしい。

そんなところに一気に冷や水をあびせちゃった。
あれもダメ、これもダメ。

良いところ
敢えて良いところを探すとすれば
ペリー来航より前の段階で、開国論者だった。

アヘン戦争で、中国がいとも簡単に負けちゃう。
中国と言えば、日本の長い歴史の中で
常に先を行く、お師匠様であり続けた。

その中国が負けるとは
考え直さねば。

いざという時のために
江戸近辺の防衛を強固にし
交渉を有利に持っていこう。

そのためには
全国に散らばっている幕府直轄領を
全部、江戸近辺に集めよう。

上地令、っていって
土地を強制的に交換。

ただでさえ、評判が悪かったのに
これで、総スカン
ふざけるのもたいがいにせいっ

結局、4年だけで、終止符を打つ。

意欲は人一倍あったのにね
誰か軌道修正してあげられる人がいれば
うまくいったのかなあ。

「ん」がなかった。続きの続き。空海のチャレンジ

「ん 日本語最後の謎に挑む」から

「ん」がなかった
「ん」がなかった。続き

空海の挑戦
そんなこんなで混乱期
ひらがなもカタカナもない時期の頃です。
万葉がなに「ん」がない時代

あの、弘法大師・空海がある本を出します。
「吽字義」という本です。
もちろん漢字だけで書かれている。

阿、と、吽について書いている。
阿、は宇宙の始まりを表している
種。
そこからすべてが始まる。
ビッグバンなんて当然知らないのに
宇宙は、ひとつの種から始まるんだと言っている。

そして、吽。
吽は宇宙全ての終わりを表す。
終わりと言っても、それは絶望ではない。

むしろ完成。
般若心経でいう「空」に近い概念が「吽」
悟りを拓き終えた状態。

そこにおいて宇宙はまた、種に戻る。

かなもないので
もちろん、50音表もない
今なら、誰しもが
「あ」で始まり「ん」で終わる
はい、その通り。知ってます。

なんで、この時期に、あまたある文字の中で
「あ」を始まりと表現したんだろう。
そして、もっと不思議なのが「ん」

「ん」はまだない。
ないのに「ん」が終わりだと言っている。

3つの「ん」が発音として区別つきにくくなってきて、統一されようとしていた。
それを先取りして「吽」と表現しようとしたのかもしれない。
「吽字義」には、「吽」を「口を閉じて発する音」としているから
空海としては「吽」は今まで存在せずにみんなが困り果てていた
「ん」を表す初めての漢字として捉えていたのかもしれない。

阿吽
みなさんご存じの阿吽
狛犬だったり、金剛力士像だったり
一方が口を開けて、阿
もう一方が口を閉じて、吽
この阿吽に繋がっていく。

阿吽の呼吸というのもそう。

やはり、阿と吽は始まりと終わりとして対のものとして
認識されているんだろう。

種明かし
種明かしをしましょう。
実は「吽」は漢字の中でも極めて特殊な位置付け。

サンスクリット語なんです。

仏教は釈迦が始め、
釈迦はインドの人。

ともすれば、仏教って中国のものと思いがちだけど
インドで出来た宗教。

釈迦自体は全く書き物を残さなかったけど
弟子たちが釈迦没後、思い出し思い出し
釈迦の教えを書き物に残す。

何百年も経って、さらに
それまでインドにあった色んな宗教を取り込んでいって
密教という分野を確立する。
日本に入ってきているのはほぼ全て、密教。

密教の特色のひとつに呪文(真言)というものがある
おまじない、なので
チチンプイプイやテクマクマヤコンみたいなもの。
それ自体には、意味がない。
特に空海の始めた「真言宗」は真言宗というぐらいだから
このおまじないを重要視している。

仏教の書き物は、インドの釈迦のいたあたりの言語
サンスクリット語で書かれている。

それを孫悟空で有名な三蔵法師とかが
シルクロードを長旅し
いっぱい中国に持ち帰る。
みんなで頑張って、中国語(漢字)に翻訳し
それが日本に伝わってくる。

すなわち、日本人が目にしたのは翻訳版な訳です。

空海は、それじゃ満足いかない
サンスクリット語も勉強し
日本語、中国語、サンスクリット語の3か国語に精通した。

そうすると分かったのが
サンスクリット語にはあるけど、中国にはない文字がある

すいません、前置きが長くなりすぎて。

そうです。
サンスクリット語には、「ん」の文字が存在するんです。

中国語って、意味と文字が直結した、 表意文字ですけど
サンスクリット語って、英語や日本語のような表音文字。

中国人もその辺の事情を分かっていて
中国になくてサンスクリット語にある「ん」を表すとき
ひとつの記号で表した。
それが「吽」
牛が口を閉じながら鳴く「もぅーっ」ってやつ

中国としては、その文字が必要な訳じゃないから
サンスクリット語の「ん」を説明するとき以外は一切使われない漢字。

実は、日本でも吽の漢字は阿吽という熟語以外には一切使われません。

サンスクリット語には、日本の50音表みたいに
文字に順番的なものが存在し
一番最初が「阿(あ)」で一番最後が「吽(ん)」なんです。
偶然の一致です。

空海、大発見。
サンスクリット語に精通した者のみがなしえた
「ん」の発見

実は空海としては、どうしてもサンスクリット語を勉強する必要があった。
呪文です。
日本人が、日本語に漢字を音だけで当てて万葉がなを作ったように
中国人も、サンスクリット語の呪文のところは、近い音の漢字を当てた。
般若心経の
ギャーテーギャーテーの部分がそうですね。

これじゃ、本当の発音がわからない。
チチンプイプイはチチンブイブイと書かれているかも知れないからです。
ちゃんとした発音で呪文を唱えなきゃ
効果があるんだかないんだか。

世紀の発見は?
さあ、この世紀の大発見。

困り果てていた皆に
空海が
良いの見つけましたよ
「ん」は「吽」でいきましょうよ
という提案書なの?

ということは、「ん」の発明者は空海?

となりそうなんだけど

残念ながら「吽字義」の中には
今後「吽」を使いましょうとは一言も書いていない。

あくまでも「吽」の哲学的仏教的位置付け。

結果的に言うと
「吽」が万葉がなに加わる事はなかった

なにせ、中国人ですら、知る人ぞ知る漢字ですので

でも、やっぱり凄い人ですよね、空海。
この挑戦に、大拍手です。

すいません
「ん」の発見に時間かかりすぎてますね
次こそは。

ツッコミ。キレと流れで勝負。

ツッコミ術から
前回は素人がおかしがちな間違いでした

・声がおかしい
・タイミングがおかしい
・セリフがおかしい
・テンションがおかしい
・ツッコミの種類がおかしい

のうち、声とタイミング
今日は、タイミングへの補足と
セリフに行きます。

早すぎるタイミング
前回、遅すぎるタイミングの話をしました。
今回は、早すぎるタイミング。

おいおい、早くせいと言っておきながら
早すぎるとは何よ

要は話の腰を折るってやつです。
特に相手が明らかにボケている場合
話の腰を折っちゃだめ

最後までボケさせて

ツッコミは愛なんです
はい、よく分かりましたよ
とてもいいボケでした
という称賛の、
お褒めの言葉こそがツッコミなわけですから

相手がもうちょっとボケたがっているのか
ツッコミ待ちなのか
愛をもって接すれば
おのずと、この切れ目が「、」なのか「。」なのか
判定できる筈

これって、ツッコミに限らず
普通の会話でも絶対に必要ですね
相手に呼吸を会わせるってこと。

セリフ
セリフが長すぎるのはキレが悪くなります。

先輩「今日は部長が出張でいないから、みんな伸び伸びだな」
あなた「正直、そうですね」
先輩「おまえ、俺がいないときも、陰で同じこと言ってんだろう」
あなた「言ってませんよ、先輩がいないときにそんな陰口なんて。私が陰で先輩の事をそんな悪く言うわけないじゃないですか」

ながーっ
です。
ここは、先輩が欲しいのは、言っていないの一言だということに気づく必要があります。
おそらく、次に行きたいんだなと。
流れを読み取るということです。

先輩「本当かよ。どうせ「あいつは一番仕事が出来ないくせに、一番偉そうにしてやがる」とか言ってんだろう」
あなた「言ってませんよ。先輩は仕事が無茶苦茶出来るのにそんなこと。誓って言いますけど私は陰で絶対そんなこと言わないです。」

なんで、こんなに長くなっちゃうのか。
先輩の言葉に、複数のツッコミどころがあるからです。
言っている言っていないという件。
仕事が出来る出来ないという件。
言っている言っていないの件は一旦ツッコんでいるし、
一番ツッコむべきは仕事が出来るってこと。
相手を誉めるツッコミなので
一番強調すべきです。

どう感じるかですね
責められている、と感じて、なんとか疑いを晴らそうとするのか
おっ、良いフリが来たぞ。仕事の出来る先輩を持ち上げるぞ、と思うかです。
こういうフリをするのは仕事が出来る先輩しか言って来ませんので。
「まあ、時々は」って言われない自信があるからフッて来る。
そこをくすぐってこその出来る後輩です。

先輩「今日は部長が出張でいないから、みんな伸び伸びだな」
あなた「正直、そうですね」
先輩「おまえ、俺がいないときも、陰で同じこと言ってんだろう」
あなた「言ってませんよ、そんなこと言うわけないでしょ」
先輩「本当かよ。どうせ「あいつは一番仕事が出来ないくせに、一番偉そうにしてやがる」とか言ってんだろう」
あなた「言ってませんよ、だから。そもそも先輩は一番仕事が出来るじゃないですか。」
先輩「まあ、そう言ってくれると嬉しいけど」

本では、「分割する」と表現していますが
ツッコみどころの二つをわけて、
最初に言っている言っていないの話に決着をつける
そして、さあこっちに話題を切り替えますよと。

ツッコミで台詞が長くなりそうなら
まずは短くツッコミを入れること。
そのあとの補足で勝負するつもりでいくと
随分伝わりやすくなります。