[百人一首]74 うかりける

うかりける 人を初瀬の 山おろしよ
はげしかれとは 祈らぬものを

(つれなかった人を  初瀬の山おろしよ
激しくなれとは祈らないものを)

源俊頼
源俊頼(みなもとのとしより)は
71番の作者、源経信の三男で、85番の作者俊恵法師の父
親子三代に渡って百人一首に取り上げられた。
源経信は例の
夕されば 門田の稲葉 おとづれて
葦のまろ屋に 秋風ぞ吹く

新しい時代を象徴する、新しい作風。
その子供で、新しさに磨きがかかっていきます。

観賞
はっきり言ってものすごく分かりにくい歌。
ゆっくり説明します。

どういう時に作った歌かというと
「神仏に祈っても逢うことのできない恋」という難しいテーマで
はい作ってね、と言われて作った歌。
それは難しすぎるでしょ。

初瀬(奈良県磯城郡)というところには、長谷寺がある
なので、祈るというのは、長谷寺に祈ると言うこと
そして長谷寺は、三方を山で囲まれ
山から吹き下ろす強い風が特徴

うかりける、というのは
冷たく当たる、つれない、という意味

あの人が、冷たく当たらないように
私の思いを分かってくれるようにと、祈ったんですよ、
なのに、最近、さらに激しくつれなくなっちゃったじゃないですか
逆ですやん、参ったなしかし

決定的にこの歌を分かりにくくしているのは
本当なら

初瀬の 山おろしよ
うかりける 人を(祈ったのに)
はげしかれとは 祈らぬものを

の順番のはずで
「初瀬の 山おろしよ」が割り込んじゃっているから。

倒置法って良くあるけど
割り込み法なんて今までになかった。

斬新と見るか、分かりにくいと見るかは、読む人次第
少なくとも選者藤原定家は、斬新と思ったようです。

最初、同じ源俊頼の
「山桜 咲きそめしより ひさかたの 雲居に見ゆる 滝の白糸」
という綺麗で素直な歌を選んでいて、途中で入れ換えています。

まあ、綺麗で素直な歌ならいくらでもあるわけで
「訳わからん」って歌も一つくらい入れたくなったんでしょうね。

山おろしよ
ところで、私達の子供の頃
「人を初瀬の 山おろし」
じゃなかったですか
最近
「人を初瀬の 山おろしよ」
と、よ がつくようになったらしいです。
ええっ?
百人一首ってむちゃくちゃ昔からある歌なのに
最近、よが付くようになりましたって
誰がどう「決めた」んでしょうかね
最初から見たら分かりそうなもんだけど、
よっぽど、よ が、うすーく書いてあったんでしょうか

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