[名僧]最澄。日本の仏教の半分はこの人

名僧シリーズ

平安時代に入っていきます。

いよいよ、この人です。
平安時代の、というより
日本の仏教の半分はこの人が作ったと言っても良いでしょう。
鎌倉仏教と言われる各宗派も
最澄の天台宗からの派生だと言えますから。

さあ、気合いを入れて参りましょう

最澄(さいちょう)
767~822。天台宗

奈良時代末の天平神護元(767)年、近江国(現在の滋賀県)の琵琶湖西岸の坂本というところに生まれます。
幼名は広野

父親は三津首百枝(みつのおびとももえ)といい、中国からの渡来人の子孫
やっぱり、この時代、渡来人は優秀なので、その血を引いている最澄もとても優秀。

この坂本という土地は比叡山(ひえいざん)の麓。
幼い頃から、比叡山を見ながら育ちます。

12歳のとき近江の国分寺の行表(ぎょうひょう)という僧侶の元に預けられます。
行表は近江大国師として近江国分寺を総括する高僧だった。

行表は最澄に言いました。
「心を一乗に帰せ」

一乗、すなわち大乗の精神によって一切衆生の救済の道に邁進せよ。
要するに、頑張って、みんなを救ってね。

19歳のときに東大寺で具足戒を受けて正式な僧侶となった。
この時、僧は国家公務員なので、公務員試験に見事合格、ってことです。

このとき、最澄という法名が授けられました。

エリートですね
超エリートです。

さあ、バリバリ仕事をしていただきましょう。

比叡山
ところが、比叡山にこもっちゃいます。

比叡山は山岳修行者たちの溜まり場
山岳修行者は仏教伝来以前からの日本独特の信仰で
仏教を取り入れてはいるものの、仏教界では異端中の異端
当然、国家資格は持っていません。

お母さんに、
あの子たちとは遊んじゃダメ、と言われるような存在です。

36歳までの、実に17年間も独自の修行を続けます。

修行の最初の頃に書いた「願文(がんもん)」では
「心を一乗に帰す」決意宣言

南都六宗と言われる奈良時代の仏教各宗派
もちろん悪くは無いんだけど
全てをマスターした上で
みんなをあまねく救うという唯一の目的のために、それは十分なのか、と自問自答

もし、更なる可能性が他にもあるのなら
やってみる

内供奉十禅師
31歳の時、内供奉十禅師(ないぐぶじゅうぜんじ)に選ばれます。
仏教界の最も偉いお坊さんベストテン

名だたる重鎮たちに31歳の若造が肩を並べたと言うことです。

ちょっと変に思いますよね
36歳まで比叡山にこもった筈

山にこもるって
俗世間から離れ
滝に打たれたりしつつ
髭ぼうぼうで、ガリガリに痩せちゃって
ってイメージを描きますよね。

最澄の一貫した姿勢なんだけど、
貪欲に色んなものを取り入れるんだけど
何かを排斥するということをしない。

山にこもっている間も、既存各宗派に喧嘩をしかけることなく、ちゃんと付き合っていく。
あれもこれも全部

ここが、良く比較される空海と違うところかも知れません。

どんどん仏教界に革命を起こしていくので
勿論風当たりも強いだろうし
実際に後半生はかなり攻撃されるんだけど
それでも自分から何かを潰しに行くということをしない

ひたすらに取り入れるだけ

大先輩方を集めて「法華十講」なる法会を行ったりもしています。
ちゃんと重鎮たちが参加しているから不思議です。

遣唐使
仏教界でほぼ上り詰めた最澄
残っているのは「どんどん取り入れる」総仕上げ

仏教の本場中国です。

特に、最澄が一番教わりたかったのが
天台大師智顗(てんだいだいしちぎ)が大成した天台宗の奥義
「法華経」を中心として、各宗派を融合した純大乗の教え

各宗派を融合した、っていうのが最澄向きです

国に
中国行って勉強して良いですか

勿論!
じゃあ、他にも行きたい人集めて
遣唐使(けんとうし)ってことで。

最澄はリーダー的立場。
還学生(けんがくしょう)と言って、ここまで、と自分で決めていつでも帰ってこれる。

同じ遣唐使に、実は空海も参加していた。
当時無名だった空海は、留学生(るがくしょう)という立場
20年以上はいなきゃいけない。
結局は大幅に短縮するんだけど、その辺のいきさつは空海の時にね。

中国で
あれもこれもっ

徹底的に凝縮した一年間
修善寺座主道邃から天台円教と梵網戒を、
仏隴寺座主行満からは天台円教を授けられ、
そのほか、禅や密教の教えも受けた
すごいですね
漢字がいっぱいです。

当地の僧侶たちの協力を得て多くの経典を書写
密教法具なども収集して帰国した

帰ってからは、シリーズの次回ね

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[名僧]最澄。日本の仏教の半分はこの人」への2件のフィードバック

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