[天皇]38-2 天智天皇。額田王の万葉の歌

[天皇]38 天智天皇。日本滅亡の危機
の続きです。

前回、政治だの戦争だの、お堅い話だったので、天智天皇の残りのちょっと柔らかめの話

百人一首ファンの私としては、ここでようやく百人一首の第一首が始まる訳です
秋の田の かりほの庵(いほ)の 苫(とま)をあらみ わが衣手(ころもで)は 露にぬれつつ

万葉集
天智天皇の弟は大海人皇子(おおあまのおうじ)のちの天武天皇です。
分かりやすく、ここでは最初から天武天皇と呼びますね

天武天皇の初恋の彼女が額田王(ぬかたのおおきみ)
二人の間には十市皇女(とおちのひめみこ)も産まれておりました。

ところが、経緯は分からないんですが
あれっと気づくと、額田王は天智天皇の奥さんになっちゃってます。

天智天皇は性格がイケイケガンガンですので、色々あったのでしょう。

さすがに申し訳ないと思ったのか
自分の娘を実に4人も天武天皇に差し出し
どうぞ、奥さんとしてお使いください。

当時は通い婚ですので、原則夫婦は同居ではない
何人いても支障なし
(そうだろうか)

そのうちの一人が鸕野讚良(うののさらら)のちの持統天皇です。
鸕野讚良はまだ13歳

天智天皇がいよいよ即位した年
日本滅亡の危機はあるものの、ちょっと一息
50年途絶えていた端午の薬猟なる、お遊び大会を復活

皆さんお誘い合わせの上お越しください。

額田王はおもてなし役
天武天皇は当然呼ばれています。

緊張の情勢の中でみんな久しぶりにおおはしゃぎ
かつての恋人同士は気持ちが盛り上がっちゃいますね

ぬかちゃーん

思わず手を振っちゃいました。

あかねさす 紫野行き 標野(しめの)行き 野守は見ずや 君が袖振る

紫の生える標野(御料地)の中で、手なんて振ったら、野守(警備の人)に見つかっちゃうじゃないの

それに対する返歌がこれ

紫草の にほへる妹を憎くあらば 人妻ゆゑに 我恋ひめやも

紫草のように色美しく映えているあなたのことをいやだと思っていません。
人妻なのに恋い慕っているのですから。

あっ
言っちゃった。知ーらないっと

泥沼になります。血を見ます。

でも大丈夫でした。

実はこれ、天智天皇もいる前で、余興的に行われた場所での事
天智天皇も「おいおい、言うねえ」とお咎めなし

おそらく自信があったのでしょう。

額田王が天智天皇に向けた歌

君待つと吾が恋をれば我が宿の 簾動かし秋の風吹く

あなたがいついらっしゃるのかしらと、恋しくお待ちしておりましたら、
私の家の簾がふわりと動き、秋風が吹いて来ました。

額田王は、それ以外にも歌人として大活躍します。

天智天皇が宴の席で、中臣鎌足に命じた。
春の花の華やかさと、秋の紅葉の彩りと競わせてみい

額田王は

冬ごもり 春さり来れば 鳴かざりし 鳥も来鳴きぬ
で始まる長歌で
始めに、春を思いきり持ち上げておいて
でも私は、しみじみと寂しい秋の山が好きですわ

住み慣れた飛鳥の里から、近江へ都を移したが為に去ろうというときの歌

三輪山を しかも隠すか 雲だにも こころあらなむ 隠さふべしや

雲さん 今日だけは三輪山を隠さないでいてほしかった

いずれも万葉集の歌です。

[天皇]シリーズはこちら(少し下げてね)

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