[足利将軍]1-2 足利尊氏。とらえどころの難しい人物像

[足利将軍]1 足利尊氏。悪い奴にされちゃうの?
の続きです。

いわゆる皇国史観により、足利尊氏が悪者にされちゃったという話が前回
ただ、そういう色眼鏡を外して考えても
とらえどころがとても難しい人物

それがゆえに、順風満帆の船出ができず
観応の擾乱(かんのうのじょうらん)という大きな内紛がまき起こってしまいます

鎌倉幕府(北条支配)を倒した
その後醍醐天皇もうちまかした
自分が主役に躍り出た

はず

そんな大きく時代を変えたヒーローなんだから
普通は織田信長のような、超ワンマンをイメージすると、ちょっと違う。

おそらく、戦は得意だし、好きなんだろう
共に戦った家来たちへの思いやりが良く
家来たちからは超人気
尊氏のためだったら何だってやる、って猛者たちが、一声かければわんさと集まってくる
類いまれなるカリスマ性を持っている

ただ、大きく時代を変えるにはそれだけではダメ
後醍醐天皇は、新しい仕組み作りで失敗したとも言える

新しい仕組みを作り上げていく
そして、同時に、既存の色んなしがらみをぶっ壊していく

構築と破壊
これが苦手だったのかも知れない

さあこれから、という矢先に
私、出家します。
と、第一線から退いてしまう。

でも助かったことに、「構築」が得意な切れ者がいた
弟の直義(ただよし)

戦で功をあげましたが
おそらく本人としては、しくみを作りやその実践が大好き
政治は全て直義に任せます。
直義は真面目人間

国をまとめあげるためには、尊氏のカリスマ性は必要なので
完全に引退した形はとらなかった
会社でいうと尊氏が社長で、直義が副社長
日常的には全部直義がやっている

大きく時代を変えようとすると
荒療治が必要
いわゆる汚れ役

直義が構築と破壊を両方やってしまうと潰されてしまう。

尊氏は高師直(こうのもろなお)、を自分のそばに置いた
性格は暴れん坊
自分が直接指令を出すことはせず
全て高師直を介してしゃべる

会社でいうと社長室長

性格が真逆な二人
尊氏がパワーバランスをうまく調整できれば、強力な体制が出来上がったろう

高師直がやんちゃだけあって、数々の戦で次々功をあげ、名を轟かせていく

まずいんじゃないですか?
直義自身は何かを思っていた訳ではないけれど
派閥が真っ二つに分かれていて、直義派の人たちは気が気じゃなくけしかける

意外にも先に動いたのは直義だった
兄さん、最近の高師直は目に余るものがあります。解任してください
観応の擾乱(かんのうのじょうらん)の始まりです

ここで突っぱねないのが尊氏の不思議なところ

だねぇ

高師直、左様でございますか、
とあっさり受け入れる筈もございません。

直義ぶっつぶせ
挙兵

ここでようやく尊氏が気づく
まずいことになった

二人を呼んで和議を取り持つ
高師直は復活。
直義は退き、尊氏の息子義詮(よしあきら)にバトンタッチ
高師直の全面勝利

尊氏なんなのコロコロと
そういう印象ではあるけれど
ひょっとすると真意があったかも

可愛い息子に継がせたい
でも、まだまだ力不足
切れ者の直義に地盤をきっちり固めてもらってからの方が良い

高師直、万々歳ですが
一度外された恨みをはらさでおくものか

命の危険を感じた直義
復活の意欲なんて全くありませんので、とのアピールで出家

一件落着
のはずだった

もう一人の登場人物が現れる
足利直冬(ただふゆ)

尊氏の息子
息子といっても、義詮のような立派な跡継ぎではない
尊氏がまだ東国にいるころ、越前局という女性と一夜の契りを結ぶ
その時の子

直冬は鎌倉東勝寺に入って幼少時をすごし、
長じてから京都にのぼって尊氏の前に名乗り出た

ええっ、ほんまか?
なかなか取り合わない

不憫に思った直義が自分の基におき
器量を見極めた上、再度段取りをつけてやった

直義がそこまで言うのなら

認知
その上で、息子のいなかった直義の養子となる
直冬は中国探題に任じられ、備後の鞆に赴いた。
中国探題は山陽、山陰八カ国を管轄する大任である。
直冬は賞罰厳正な善政をしいてその大任をこなし、評判はよかったという

直義失脚の余波が直冬にまで及ぶ
高師直としては、直義の子はそのままにはしておけん

さあ、第二幕が始まります。
続きはシリーズの次回ね。

[日本の歴史]シリーズはこちら(少し下げてね)

[足利将軍]1-2 足利尊氏。とらえどころの難しい人物像」への3件のフィードバック

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