親鸞がぶち破ったもの

名僧シリーズです。

親鸞
1173~1263 浄土真宗

親鸞は、日野有範(ありのり)の子供として、京都に産まれる。
藤原氏北家の一族で、当時は、下級貴族に甘んじていた。

時は、源氏が平家に取って変わる激動の時期
有範はこのままで一族に将来はなかろうと
家族揃って、比叡山(天台宗)へと出家の道を選ぶ
親鸞9歳の時です。

梅原猛さんは、「法然親鸞一遍」の中でとても面白い説を唱えておられます。
元々は、吉良潤さんという方の説ですが、梅原さんもずいぶん研究されて、間違いなかろうと。
親鸞のお母さんは、源義朝(よしとも)の娘だと言うのです。
源義朝は、源頼朝と義経兄弟のお父さん。
親鸞は源義朝の孫であり、
頼朝の甥ということになります。

こうなると、話は違ってきます。
「一族に将来はなかろうと」ではないかも知れません。
当時の天台宗座主は、慈円
おほけなく うき世の民に おほふかな わが立つ杣(そま)に 墨染の袖
政治に対して意欲的な大物です。
慈円にとって、頼朝の甥は特別な存在になる筈です。

親鸞一家としても、源平の争いに巻き込まれ
命の危険があったやも知れません。
出家して逃れたという可能性もあります。
そもそも、公式には有範は、親鸞が4歳の時に死んだことになっているようです。

親鸞は、9歳から29歳までの20年間、比叡山で過ごすのですが
その間の事はあまり明らかにはなっていません。

堂僧という身分、
比叡山中に数多く点在するお堂の雑用係として入ります。
修行する僧のお世話をするだけで、自分が修行を出来るわけではない。

類いまれなる能力を持っている親鸞のこと
ずっと、その立場でいたとは考えがたいでしょう。
慈円の代理として宮廷にも赴いています。

この間政治は大きく動き
源頼朝の時代となり、その関白は九条兼実(くじょうかねざね)
慈円のお兄さんです。

慈円も栄華を極めます。

ところが、源頼朝が亡くなり情況が微妙に変わってきます。
慈円が親鸞に対する接し方も変わってきたかも知れません。

いずれにしても、政治に翻弄される比叡山に
大きく失望したのでしょう。
山を降りる決心をします。

京都の六角堂に百日間籠ります。
親鸞が目指す仏教を探す試みです。
満たされなかった思いから、目一杯の修行

95日目には、救世観音からお告げも聞きます。

行者宿報にして、たとひ女犯すとも
我玉女の身と成りて犯せられん
一生の間よく荘厳して
臨終に引導して極楽に生ぜしめん

難しいですね。
単純に言うと、女犯戒(にょぼんかい)をおかしても良いですよ
責任をもって、極楽にお連れしましょう。
後で、その意味するところを説明します。

お告げを聞いてすぐあと、法然の元に向かいます。
おそらく、最初から決めていたんでしょう。
法然は69歳、親鸞は29歳の時。

法然
法然が問います。
あなたの仏教についての考えをお聞かせください。

自分の考えを、いっぱい喋ります

それは、自力聖道門(じりきしょうどうもん)ですね
雑行(ぞうぎょう)です。
正行(しょうぎょう)だけで大丈夫ですよ

えっ?ど、どういうことですか。

法然の他力浄土門(たりきじょうどもん)の考えを
丁寧に教えてくれます。
悟りではなく、救い
詳しくはこちらを読んでね
法然の仏教革命とは

これだぁ

九条兼実
法然も、親鸞の類いまれなる才能に早い内から後継者として認めます。

そんな折り、
九条兼実も、時代に翻弄され疲れはてたのでしょうか
出家を決意します。

となると、当然、弟慈円が座主をつとめる比叡山の天台宗の筈ですが
不思議なことに、法然の元に来るのです。

戦乱の世の中において、おそらく多くの人をあやめて来たでしょう
心が疲弊しすぐにでも救われる道を探したかったのでしょう

法然殿
私のような罪深き者でも
念仏によって、阿弥陀様はお救いいただけるのでしょうか
あなたのような清僧と、多くの女性に触れ、酒を飲み肉を食べている俗人の私では、
念仏の功徳が違うのではありませんか

念仏というのは阿弥陀様から賜ったもので、
あなたの念仏と私の念仏はまったく同じものです

本当でしょうか
私は妻帯しているんですが

大丈夫ですよ。なんでしたら証明して差し上げましょう。

法然は、後継者と決めている親鸞を呼び
ある提案をします。

兼実には娘がいますが
その娘と結婚しませんか

はい?

可能なら、法然自身がそうしたかったかも知れませんが
何せ69歳
いくらなんでもね。

法然の仏教革命はいつもこの問題にぶち当たっていました。
先程出てきた女犯戒(にょぼんかい)というのは、女性と交わること、結婚することを禁ずるということです。
法然の仏教革命は、在家信者のためのものなんだけど
在家信者は女犯戒を犯しているため、スタート地点に立てない

法然に出来なくて親鸞に出来たのはこの壁をぶち破る事でした。
親鸞は、お告げを聞いています。
自分こそが、いよいよ新しい時代を作るんだ。

兼実の娘、玉日と結婚し
多くの子供をもうけます。

ところが、このあと、試練が待っていました。
続きはシリーズの次回ね。

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