[寺社建築] 斗栱はアートか

[寺社建築]寺社建築の基礎と建具
の続きです。

建築技術
昔々、中国から仏教とともに建築技術が渡ってきたときは
それはそれは衝撃だったでしょう

それまで、各郷族たちはでっかい古墳を作って力を鼓舞していましたが
一気にその熱が冷めちゃった。

お寺かっこいいっ。あれ作ろう

やっぱりすごい日本人
そんな憧れの建築技術を、単純に真似するだけじゃなく
日本の環境に合わせたように改良していく。

日本の環境で中国と大きく違うのが、雨と木

雨がとっても多い
対応する為に、屋根の角度が急勾配になる
雨がバンバン当たると家が痛むから、屋根の軒先を大きく出す必要がある
そうすると、その軒先をどう支えるかという技術が発達していく事になる

雨が降るから木が育つ
木が豊富なので、とても贅沢な材木の使い方が出来る

斗栱(ときょう)
寺社建築、一番寺院っぽくてかっこいいのは、斗栱(ときょう)でしょう

斗栱自体は中国から来たものですが、日本ではさらに大きく発展

あまりにかっこいいので、装飾かと思っておりましたが
実用的な技術だったんですね

軒先を大きく出そうとすると、自分の重みでバキッと折れちゃいますので
柱から手を出して支える感じにする
肘を出しているみたいだから肘木(ひじき)

でも、その肘木も折れちゃ困るので
肘木を支える肘木で支える
でも、その肘木を支える肘木が折れちゃっちゃ困るので
肘木を支える肘木を支える肘木で支える

三つで支えているから三手先と言います。

一点で支えると弱いし、
棒は横からの力がかかると弱いという事から、
十文字に木を組んで、ガシッガシッと縦横の木材を掴まえつつ伸ばしていく
組物(くみもの)という考え方に発展していった。


4手先5手先とどんどん増えていくんだけど
屋根はそれだけ高くなっちゃう
真横に組物を伸ばしていけんやろか

はい、分かりました
こんなんどうですやろ

何?このむにゅっと曲がったの
折れちゃわないの?

尾垂木(おだるき)と言いましてね
奥まで長いんですよ


奥の長い先が屋根の重みで下に押されると、あら不思議
下側の先が上向きに跳ね上がる

小学校で習いました。
てこって奴です

この成功で味をしめたのか
鎌倉時代に「てこ」の考え方を発展させた桔木(はねぎ)というものが開発されました。

屋根界の革命とも言えるもので
尾垂木よりももっとでかく、屋根の中に隠れていて外からは見えない


これさえあれば、屋根問題はオールクリアと言うほどのもので
斗栱だの組物だの尾垂木だのは一気に役目を終えてしまった。

でもまだ、斗栱はある気がするんだけど。

はい
桔木のお陰で、実用としての斗栱は、そのまま
無くても良いけど、かっこいいなという
アートとしての斗栱に役割を変えたのです。

[寺社建築]シリーズはこちら(少し下げてね)

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