[百人一首]21 今来むと

今来むと 言ひしばかりに 長月の
有明の月を 待ち出でつるかな

あなたが来ていただけるということだったので
ずっと待っておりましたのに
9月の有明の月が出る明け方になってしまいましたわ

素性法師(そせいほうし)
素性法師はあの僧正遍照(そうじょうへんじょう)の息子
12.天つ風 雲の通ひ路 吹き閉ぢよ をとめの姿 しばしとどめむ
家族を捨てて出家した、その前に出来た子供

素性法師が成人になって
こんなに大きくなりましたと再会

そうか、立派になって・・
でも、坊主の息子なんだから、坊主にならなきゃ
と、無理矢理出家させちゃった。

素性法師なんて名前でどう?

親譲りで、ちょっと変わったところあるので
向いているかも知れません。

鑑賞
出ましたね有明の月
明け方に出る月のこと

百人一首にはお馴染みキーワード
30.有明の つれなく見えし 別れより あかつきばかり 憂きものはなし
31.朝ぼらけ 有明の月と 見るまでに 吉野の里に 降れる白雪
81.ほととぎす 鳴きつる方を ながむれば ただ有明の 月ぞ残れる 

男性が女性の気持ちになって詠った歌
ということは、フィクションということになりますね。

もう、待って待って、待ちくたびれちゃったわよ。

何度も出てきているように
昔は男性の通い婚だから
女性は待つ立場

待ちくたびれて、という歌はとても多い

待って待って明け方になって、有明の月、は良く使われるお決まりパターン

女性が自分の気持ちを歌ったのならば
怨み節的な雰囲気が出ちゃうけど
フィクションの良さですね

ちょっとひねって
いつもは3つの本から合わせ技で解説するんだけど
今回はその中で、橋本武先生の「解説 百人一首」が面白かった。

その他にもネットとかでも解説を読んだけど
一般的なのは
待っている間に有明の月が出ちゃったわよ
というもの

あっさりしています。

でも良く良く見ると、

有明の月「を」待ち出でつるかな
あなたを待っていたら、有明の月が出ちゃった、訳じゃない
有明の月を待つという表現
どうしたことか

一歩進めて、こんな解釈

あなたを待っていたら、有明の月が顔を出した
何だ、これじゃ
有明の月を待ってたってことじゃない

せっかくのフィクションです。
さらに、一歩進めて
もっと楽しい解釈に変えちゃいましょう。

あらいらっしゃい。
もう、待ちわびたわよ
さあ、入って入って

と思ったら、なあんだ、
有明のお月さん

いいわ、もうあの人の事なんてどうだって
ゆっくりして行ってね
さっきは、なあんだ、なんて言ってごめんなさいね

違うの
ほんとは最初からあなたのことを待ってたのよ

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