[植木等]9 てなこと言われてその気になって

[植木等] 物語の始まり
[植木等]2 小学生が檀家を回ってお経
[植木等]3 いたんだねえ。あいつが
[植木等]4 コミックバンド?へえ、そう
[植木等]5 クレージーな猫たち完成
[植木等]6 青島幸男と言います。
[植木等]7 こりゃまた失礼致しました。
[植木等]8 スイスイスーダララッタ スラスラスイスイスイ
の続きです。

映画
スーダラ節が流行ったあと、東宝に呼ばれる

君を主役に映画を録りたいと思っているんだ。

映画の主役って誰しもが憧れる
そりゃすごい、と思って聞いた

どういった映画なんでしょう

ニッポン無責任時代、って言うんだよ。

はぁ??

監督の古澤憲吾はまさに奇才と呼ぶにふさわしい人だった
台本なんてたびたび無視する

思いきり走ってこい
ここでズドーンと転ぶ
カメラが録ったな、と思ったら
スッと立ち上がって、ガーッと向こうに走っていけ

全速力で走っているトラックからトラックに乗り移るとか
前から来た電車に逃げ場をなくして鉄橋の下にぶら下がる
はい、そこから飛び落ちる
そんなことをスタントマンなくやらせる。

毎回毎回、全開で取り組まないと怪我しちゃう
共演者一同くったくた

無茶苦茶なシーンの連続だったけど
監督本人が自分でテストして絶対大丈夫だからと、100%の自信を持って言ってくる
自分が体張っているのを見ると嫌とは言えません。
ただ、監督もトラックから振り落とされたりしているから説得力はないんですけどね

大ヒットして、無責任シリーズは一世を風靡する

一方で、ハナ肇も松竹で「馬鹿が戦車でやって来る」等の馬鹿シリーズ
谷啓は、東映で「図々しい奴」

あるとき、正月に、植木の東宝映画と松竹の松竹映画がかち合った

記者がハナ肇にインタビュー
今度の正月映画、東宝の植木さんとかち合いますが勝ち目はありますか

この野郎、ふざけた事言うな
今の植木に勝てる奴なんて、日本にいるわけないだろう

舞台
それと並行して舞台もやった
例えば菊田一夫演出の「太閤記」

むしろを敷いて植木が寝ているところから始まる
幕があくと、三階から
おーい、見えないぞー

植木はむしろを持って前の方に移動して
おーい、見えるかー

大ウケ

でも、菊田は怒ったねえ
勝手なことすんじゃねえ、って

C調路線
ニッポン無責任男の主題歌も大ヒット
やはり青島幸男と萩原哲晶のコンビ
最後の歌詞は

コツコツやる奴ぁ ごくろうさん

要領と運だけで社長になったC調サラリーマン

ハイ、それまでヨ
始めね、この歌を貰った時は嬉しかったの。
♪あなただけが 生きがいなの~、ってね、やっと歌らしい歌が歌えると思ったわけ。
ところが
♪テナコト言われてソノ気になって、でガラリ変わっちゃう。
どうして、せっかくいいメロディを、こんなふうにしちゃうのかと思ったよ

チョイト一杯のつもりで飲んで、から
サラリーマンは、気楽な稼業と来たもんだ、と来て
俺はこの世で一番無責任と言われた男、だもんね

みんな頑張っている
でも、みんな頑張っているから
もっともっと頑張らないと
一握りの成功者になれない

ほとんどのその他大勢に「救い」がいる
もう頑張らなくて良い
無責任でいい
植木のように成功するかはわからないけど
そうなりゃ儲けもんで良いじゃない
植木のように笑うこと、は出来るはずだから

憧れ
ああなりたいなあ
「良く生きる」なんて事に背を向ける
そんなことが続けられたら

結局、ずっとは難しくて
頑張ることもしちゃうから
植木等の存在は、永遠の憧れなんだろう

植木等自身はいたって真面目な人間だから
作られたヒーローと自分のギャップに悩む

こんなんで良いんだろうかという思い半分
救われました、明日から頑張ります、って声をかけられると
続けなきゃ、って思い半分

でも、あの笑い声を聞くと
決して、作られたキャラクターではないと思う
あのC調植木「も」本当の植木等なんだ

少しずつ、このC調路線が変わっていく
映画で、お話にならないお調子者の出世男が
実は、裏で人知れず努力していたというオチをつけるようになった

そこブレちゃうと、ダメなんじゃないだろうか
本当はそうかも知れないけど
言っちゃダメなんだと思う

次第に人気に陰りが見え始める。

続きはシリーズの次回ね

[人物]シリーズはこちら(少し下げてね)

[植木等]9 てなこと言われてその気になって」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: [植木等]10 全部一生懸命やって来たけどね | でーこんのあちこちコラム

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です