[首相]32-2 吉田茂。分かった。ひとりの日本人も、餓死させない

[首相]32 吉田茂。嫌になったらいつでも投げ出す。
の続きです。

組閣人事
日本自由党の総裁を引き受けさせられたが、党の運営には全く興味がない
鳩山一郎が何とかしてくれるだろう

問題は首相の方
問題山積なんて状況じゃない

戦争に負けて、GHQの下にある

ちまたでは、食糧がなく
このままではどんどん餓死者が出るだろう

この状況に手立てを打てる人に内閣に入ってもらいたい。
本来なら、党の幹部を大臣に起用していくべきなんだろうけど
全くもって念頭にない
後に大トラブルになるんですけど

考えたのは食糧問題に詳しい大学教授
東畑精一東大農学部教授

ところがいくら説得しようとも、全く受けてもらえなかった

どう見積もっても足りないものは足りない
さらに、GHQ次第というこの状況下では、
何をしようにも自由にならないじゃないか

他の大臣はなんとかなったが
肝心の農林大臣だけが何ともならない

マッカーサー
マッカーサーとは不思議とウマがあった

総裁になる前、こんな事があった

マッカーサーは、司令部の大きな部屋のなかを、
いつも大股で行ったり来たりしながら説教するかのような口調で一方的に話しまくるんだ。
今日も、議論が激してくるにしたがって、例の調子が始まった。
マッカーサーの格好ときたら、まるで動物園の檻のなかにいるライオンそっくりだ。
思わず笑い出してしまったよ。

なんで笑うんだ

じつはじつは元帥が檻のなかを行ったり来たりしながら説教をしているライオンに見えてきて、つい笑ってしまいましたが檻のなかを行ったり来たりしながら説教をしているライオンに見えてきて、
つい笑ってしまいました

ん?

思わずマッカーサーも笑ってしまった。

他の日本人はただ自分に媚びてくるだけ

ズケズケものをいう日本人を始めてみた。

会見
自由党の総裁になって初めての会見

元帥、食糧が足りません
このままでは日本人はどんどん餓死してしまうでしょう。

どれくらい足らんのだ

450万トンです。

分かった、こっちでも調べてみよう。

ところが後日呼び出されると
この数字が大きく違っていた。

日本のこの時点での官僚の出してくる数字はあてにならない
吉田は、ますます科学的な検証の出来る大学教授の必要性を感じる

70万トンだと思うがどうだ

あのあと、再度調べましたが、確かに450万トンはでたらめでした。
正しい数字が出せたらあんな無謀な戦争はやらなかったでしょう

マッカーサーは声をあげて笑った

「分かった。ひとりの日本人も、餓死させない。
七十万トンの食糧の輸入は、ただちにしよう」

即断即決
いつもマッカーサーはそうだった
マッカーサーの机には引き出しがない
即断即決なので、引き出しを必要としなかった。

七十万トンの食糧の輸入の約束を手土産に再度、東畑教授のもとを訪ねる
多少は揺らいだが、結局はやはり断られた。

組閣を断念するか

そんな時、もうひとりの候補、那須皓東大農学部教授
が引き受けてくれそうとの連絡が入る

助かったあ

ところが今度はGHQ の方からクレームが入った
那須教授は、パージで公職追放になる予定です。

もう、何とでもなれ
完全に投げ出したくなった

この間、吉田の傍らには、農林省農政局長の和田博雄が常にいて
共に、教授説得に東奔西走してくれていた。

和田は、戦争前、
戦争をすると食糧がこれだけ足りなくなるという数字の報告書を作り
逮捕されて、刑務所に入っていた人物

吉田は最後の手段に出た。

和田さん
いっそのこと、あなたが農林大臣になってくれませんか

今まで、局長が次官を経ずに大臣になったケースはない

和田農林大臣案は、日本自由党の中で大もめにもめた
和田の考え方は、共産主義に近いと思われていた。

なんだと?
人事には口出ししないという約束だったじゃないか

鳩山一郎と大喧嘩して
絶交だっ

実際にこの絶交はこのあと、6年間も続くことになる

ただ
このあと、日本自由党内を説得に奔走したのは鳩山だった

[首相]シリーズはこちら(少し下げてね)

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