[百人一首]99 承久の乱

[百人一首]99 その前に、後鳥羽院について
の続きです。

承久の乱
承久の乱は、武士に主導権を奪われた朝廷の後鳥羽上皇が、巻き返しを図ろうとして
起こした反乱と紹介されることが多いようです。

でも、良く良く調べていくとそういう構図とは少し違う

後鳥羽上皇はあまりにキレ者なので、主導権を奪われてはいないんです。

朝廷と、武士という二つの筋で考えるのもちょっと違う

京都側は、上皇と摂関家(藤原氏)
鎌倉側は、将軍家(源氏)と、その補佐役の執権(北条家)

四つの筋で考えるべきでしょう
その時点では、将軍家は摂関家がのっとっているからです。

後鳥羽上皇からすると
上皇、摂関家、将軍家の3対、執権の1
4分の3を手中におさめた後鳥羽上皇が、4分の4のパーフェクトにすべく
残りの執権に戦いを仕掛けた、言わば欲をかいた戦い
巻き返しではないんです。

ところが、残りの執権に隠れたキレ者がいて
この3対1の筈の図式を巧みにすり替える。
北条政子です。

予想を上回る強大な力で、後鳥羽上皇をねじ伏せる

我々の世代で覚えたのは、いいくに(1192)つくろう鎌倉幕府、
で源頼朝が鎌倉幕府を開いて以降は将軍を中心とした武士の世の中
と思いがちです。

本当は
1221年に、承久の乱で後鳥羽上皇が負けて以降
執権を中心とした武士の世の中

鎌倉幕府を開いたところで、将軍は中心となるほどまでの力は持っていない
承久の乱後は、将軍は執権に良いようにされちゃうので
結局、鎌倉時代において将軍は実権を握ってはいないんです。

さあ、その前後で時代が全く変わる節目の「承久の乱」
以上の大きな流れを念頭に置きつつ、じっくり見ていくことにしましょう

ちょっとだけ時代がさかのぼります。

実朝
源頼朝はとても偉大だったけど
義経を信頼できずに殺しちゃったのがやっぱり大きかったですね
いくら自分が偉大でもその体制を長く持たせようとする発想に欠けていた。

二代目、源頼家が全然ダメで僅か1年ちょっと
三代目、源実朝は詳しく説明しましたね
[百人一首]93 世の中は。将軍実朝、その前に。
[百人一首]93 世の中は。源実朝、その続き
かなり頑張りました。
でもでっかい船を作って失敗したりして、周りの空気がちょっと冷たくなってきた。

最もまずかったのが、世継ぎが生まれなかったこと。
途中の段階で、あっもう無理だなと分かった。

せっかく頼朝が作ってくれた幕府というものを
何とか続けていく方法はあるまいか

仰天プランを思い付きます。

実は、後鳥羽上皇とは、和歌を通じて気持ちが通じあっている

ねえ、後鳥羽さん
おたくの息子さんを次期将軍として迎えたいんだけど。

ええよ

後鳥羽上皇としても悪い話ではありません。

そうなったら、後鳥羽上皇はやりたい放題になるでしょう。
でも、それでも良いと思ったんでしょう。
男が男に惚れた、ってやつかもしれません。

執権というのは、頼朝の奥さんの政子の実家、北条家
将軍の補佐役です。

執権としても、まあ、実朝さんが決めたんなら良いですよ。

この時期も、公武合体が決まっていたんですね。

あとは、いつどういう形で実行に移すかのみ

ところが、突然例の事件がおきます。
実朝が、逆恨みした二代将軍頼家の次男、公暁に暗殺される
公暁自体もすぐにその日に討たれるので
突然、将軍家が途絶えてしまった。

まさかっ

鎌倉では緊急会議

方法はひとつ

すみません。後鳥羽上皇
例の約束なんですが
前倒しで、即刻実施でお願いできませんでしょうか

あらあ、お困りのようですね。
どうしょうっかなあ

足元見放題です。

お宅たちが管理しているこの辺の土地
放棄してもらえないかな

色んな条件を飲ませ
しかも、次期将軍として送ったのは
自分の息子ではなく、摂関家から
最初に、摂関家が将軍家をのっとった、と言ったのはこの意味です。

藤原頼経。藤原家の中でも九条家という名門

面白いですね
なぜ、悪い話ではない筈の自分の息子ではなく、摂関家からにしたんでしょう
読み間違いだと思います。
摂関家は自分の良いなりになると思っていたんでしょう。

藤原頼経のおじいさん、藤原公経(きんつね)は微妙なバランスを保ち
両方とうまく付き合っていく。
花さそふ 嵐の庭の 雪ならで ふりゆくものは わが身なりけり
ですね

結果として、後鳥羽上皇が破れたあとも
藤原公経が絶大なる権力を握ります。

3対1だと後鳥羽上皇が思っていたバランスは
既にここでも崩れていたということになります。

もうひとつ読み間違いをしている
藤原頼経は幼い
幼いが故に、自分の言うことを聞くと思ったのだろうけど
場所は、京都でなく、鎌倉だった
幼い頼経にぴったり付いて、あれこれ教えてあげる人が必要

それを行った人が、誰あろう、北条政子だった。

長くなりました。
続きはこのあと。

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