[人類]8 最後の選択肢、丸木船は可能か

[人類]1 日本人はどこから来たのか
[人類]2 ホモサピエンスの世界大拡散
[人類]3 なぜ海を渡る?考えても分からん。
[人類]4 草の舟が完成
[人類]5 草の舟はどうだ
[人類]6 竹いかだはどうだ
[人類]7 竹いかだ出発ーっ
の続きです。

丸木舟
草の舟で失敗し、竹いかだでも失敗
残る選択肢、丸木舟

素人が考えると、一番成功しそうな丸木舟をなぜ一番最初に挑戦しなかったのか、の疑問がわく

考古学の専門家たちの間では、丸木舟は候補に上がらないはずのものらしい

目的は、旧石器時代3万5000年前に、なぜ我々の祖先が、黒潮が強力に流れる海を渡れたのか
その実験を介して、当時の人たちの気持ちを理解し、「なぜ」を解明すること
渡れれば良いんじゃない
事実として渡った事は分かっているので、渡れることの検証は必要ない

丸木舟は旧石器時代の次、縄文時代からのものとされてきた。
木は腐るので、極めて特殊な環境でしか残っていないのだけれど
それでも、縄文時代に作られたであろう丸木舟が、日本全国で160も見つかっている

縄文時代にはあった
旧石器時代にはあったかなかったか分からない

あったかなかったか分からない丸木舟で実験することに意味があるのか

でも、やってみて分かった。
草舟でも竹いかだでも黒潮は横断しきれない
黒潮に勝てるだけのスピードが出ない。
であれば、丸木舟
考古学への挑戦

作れるのか
問題は、人が数人乗れるほどの大木を切り出して
中をくりぬくって事が、当時の道具で出来るのか

教科書的に言うと
旧石器時代は打製石器の時代で、新石器時代(縄文時代)は磨製石器の時代
ただ、日本では、旧石器時代にも磨製石器が出土されている
刃部磨製石斧(じんぶませいせきふ)と呼ばれる、石の斧

下が砥石で、上が斧の刃

縄文時代のように全面的に磨く事は無いけれど
刃の先は磨いている

斧を作ってみた

大木を切ってみよう
頼りになったのが、古代の斧の専門家、雨宮さん
自作のシカ皮とクマ皮の衣装で現れた
自らを縄文大工と名乗る彼の自信作
気分が乗ると着るという

カツンカツン

いけるっ

6日目、
スドーーーン

そこから、一年間寝かせ、十分に乾かす。

そして、くりぬき作業
上野の科学博物館で公開でも作業して大喝采

浮かべて漕いでみると、欠点も分かってきた
スピードは申し分無いが、安定感が草舟や竹いかだに比べて大きく劣る
ややもするとクリンとひっくり返っちゃう
元が丸太ですから

漕いでみては、この辺を削ろうという繰り返し
何度も何度も何ヵ月もかけて

よりスピードアップするため、表面を焼き、摩擦を減らす
中側にも炭を入れて焼き、乗りやすくする

波避け等も付けて完成ーっ
舟の名前は杉の女神を略してスギメだ

前々回の草舟や前回の竹いかだの時と違い、今回は完全に3万5000年前と同じルート
台湾から与那国島
黒潮で流される前提で、ずいぶん南から出発
距離は、206km
一日で行ける距離ではない。

漕ぎ手は一流シーカヤッカーを揃えた
おそらく3万5000年前も強靭な職業的漕ぎ手だったと予想したことによる

出発は、2019年6月25日~7月13日の19日間を挑戦期間として確保
この時期を逃すと風が立ち、波が荒くなる
そのうちいつ出発するか
全て漕ぎ手の判断に委ねられる
出発点の海岸でテントを張って生活し
朝から晩まで海を眺めて会話する

ヨシッとなって、直前で2回中止
3度目の正直、7月7日がやって来た

さあ、行きましょうか

続きはシリーズの次回ね

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