[人類]10 もう漕げない

[人類]1 日本人はどこから来たのか
[人類]2 ホモサピエンスの世界大拡散
[人類]3 なぜ海を渡る?考えても分からん。
[人類]4 草の舟が完成
[人類]5 草の舟はどうだ
[人類]6 竹いかだはどうだ
[人類]7 竹いかだ出発ーっ
[人類]8 最後の選択肢、丸木船は可能か
[人類]9 暗黒のシケた海の上へのメッセージ
の続きです。

2日目
黒潮を越えた
今までどうしても越えられなかった黒潮を越えた

でも、漕ぎ手たちはその事が分かっていない
どう進路を取ろうとしているのか

この頃から、5人は交替で休憩するようになっていた。
丸木舟の中に仰向けに寝て目をつぶった
体がほてるのを防ぐため、水をかぶることもした。
休憩というにはあまりにも短く、だましだましという感じだったが
それでも一定の効果はあった

あの荒れた海と、ほとんど星が見えなかった夜を越えてきたあと
本来なら2日目のために温存しておくべき体力を使い果たしていた。

徹夜だったので恐ろしく眠い

9:45 一人が海に飛び込む
トイレ

水と食料はどうしたかなのだけど、
3万年前の状態にしたかったのを断念した。
まず、水
水の容器をあれこれ試作
結局どれもうまく行かず断念
ペットボトルで妥協

食料も、色々試したが
漕ぎ手が慣れていない食料は過酷な環境だけに採用しきれなかった。
おにぎりや、ゼリー食品などそれぞれ思い思いの食品とした。

水が足りなくなったため
仕方なく、伴走船から差し入れした。
今後の課題として残る

11:43 漕ぎ手全員が手を休めて休憩に入った

お昼過ぎ、船が迷走を始める
東へ行ったかと思うと引き返し、
南へ行ったかと思うと引き返す
40分も続いた。

何をしていたかというと、島影を探していた。
そろそろ見えるかも

結局はまだ見えないと言うことに落ち着いて、元の進路に戻る

15:00頃、船はこの位置にあった

方角はバッチリ、黒潮は渡りきり、距離的にも半分は越えた。
ただ、丸一日以上、ずっと漕ぎ続けているので、いつまで持つか

休憩の頻度が増えてきた。

全員が突発的な睡魔と、様々な体調変化に見舞われる
胃けいれん、尻の擦れ、幻覚、腹痛

1日目とは違い、海は穏やかだが、照りつける日光に熱中症寸前

禁を破って伴走船に対して無線が入った
氷をもらえませんか

それでも何としても続けたいという気持ち

当初の予定では、うまく行けば24時間後くらいを過ぎると島が見えてきてもおかしくない。

島が見えなかったあのとき、一人だったら気がおかしくなっていたと思います。
みんなが一緒だから頑張れた。

一人が海に飛び込む
続いて二人三人四人
体を冷やし、笑い声
無理にでも笑って、気持ちを鼓舞する

日没前にまた無線
おにぎりを差し入れしてもらえませんか

おにぎりが腐ってしまっていた。

それならばと、おにぎりに加え、暖かいうどんを袋に入れて差し入れ
でも、うどんを完食できたのは二人だけだった。

2日目の夜の英断
2日目の夜が来た
1日目の夜より、天気は良い筈なのに、雲が空を覆ってしまった。
星が見えない。

一瞬だけ木星が見えたがすぐに隠れた。

どうすれば

この時、一人が、光が見えたと行った。
いや、見えたような見えなかったような
そちらの方角へ少し漕いでみようと

ただ、別の二人が
もう限界だ、漕げない、と言う

原キャプテンは思った。
みんな疲れの限界を超えている
方角を知る術はない
ここであれこれするよりも
今は全員で休もう。寝よう。

自分もその光は見えなかった
根拠はないけど、その方角が島だと思う。
今、潮の流れはその方角へ向いている
漂流しても大きな問題にはならない。

まず自分が監視役をやるので他の4人は寝る
そのあと監視役を交替してもらう。

かくして、原キャプテンの判断で漂流が始まった。

漕がない船は、じわじわと与那国島方面へ流れていた。
空も満天の星空に変わった。

見張り役が鈴木さんに交替
それからどれくらいたったろう
鈴木さんが、3万年前にはなかった見えて欲しくないものを見てしまった。

灯台の灯

あっ、見えちゃった。

一人ずつ静かに起こす。
でも、確認しても、やっぱりみんなそのまま寝てしまった。

午前5時頃、8時間ほど眠れたみんなが起き出した。
再開
目指すは見えちゃった光

少しずつ周りが明るくなってきた。

5:25 雲が見えた
島の上に現れる特有の雲

6:45
うっすらと見えてきた

島だ

漕いで漕いで、漕ぎ続け、漂流したあとも漕いで
やっと見つけた島影だ

島は見つけてからが遠い
島の周りは特別な流れがある
それも、みんなで克服した。

7月7日 14:38出発
ほぼ丸2日後、7月9日 11:48 到着

シリーズの次回、振り返りながら、
なぜ、3万年前の我々の祖先ホモサピエンスは、海を渡ったのかに迫りたいと思います。

[科学]シリーズはこちら(少し下げてね)

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