[日本語の発音] 漢字によってもたらされた発音

[日本語の発音] 奈良時代に母音は8個あった
[日本語の発音] ハヒフヘホはパピプペポ
[日本語の発音] 発音通りに書いた時代
[日本語の発音] ゐ、ゑ、を
[日本語の発音] 漢字仮名混じり文の開発
[日本語の発音] 室町時代。じとぢ、ずとづの統一
の続きです

ここで、もともとの日本語の発音が漢字の導入によって変わってきた点をまとめたいと思います

発音
もともとの日本語の発音の大きな特徴は、音節が母音で終わるというものです
日本語とイタリア語はこの特徴を持っていますが
英語なんかは、子音で終わる発音がいくつもある

私は関西人で、関西人の発音は母音が強い特徴があるので
英語の発音がとても苦手
shockはショック[shokku]と母音までつけて発音する

漢字
ところが中国語は、子音で終わる発音がある
中古漢語には、-k -t -pをはじめ -m -n -n等、子音終わりの漢字があった。
-k -t -pで終わる漢字は三内入声音(さんないにっしょうおん)という。
「三内」とは、喉、舌、唇のうち、どこで発音するか。
-k(喉内)、-t(舌内)、-p(唇内)

最初は、忠実にそのまま発音するように頑張った
ところがだんだん、ムリムリってことで母音をつけて発音するようになっていく
仮名で表現できないと、発音が説明しづらい訳です

◆喉内音-k
「ク」で表すことが多い。
覚(カク)、石(サク)、木(モク)、駱(ラク)、徳(トク)、黒(コク)、国(コク)、楽(ラク)、足(ソク)

◆舌内音-t
「チ」あるいは「ツ」で表すことが多い。
褐(カチ)、纈(ケチ)、室(シチ)、筆(ヒチ)、逸(イチ)、鉢(ハチ)、仏(フチ)、埒(ラチ)、薩(サチ)

◆唇内音-p
唇内入声音は最初「フ」によって表記されたが、後に 「ウ」に替わって転写された
雑(サフ)、葉(エフ)、甲(コフ)、塔(タフ)、蝶(テフ)、挿(サフ)、立(リフ)、執(シフ)、業(コフ) 等々

一番苦労したのが唇内音-p
今まで説明して来たように、ハ行の発音自体が変わっていくので
最初、フが唇内音-pにかなり近かったので「フ」にしていたんですが
日本語の発音自体が「ウ」に近くなり「ウ」の表記に変わっていく

当初のてふてふは蝶々な訳です

あれ?と思うものがあります
◆唇内音-pの例の中にある雑(サフ)、立(リフ)、執(シフ)
なんと、これらは、表記を間違える

雑(サウ)、立(リウ)、執(シウ)とすべきところ
雑(サツ)、立(リツ)、執(シツ)にしちゃった

間違えちゃった方で定着はするものの、やっぱり変
ってことで、一部に正しい読み方も残っている
固執は「こしつ」だけでなく「こしゅう」とも読むし
建立「こんりゅう」雑兵「ぞうひょう」雑巾「ぞうきん」なんてのもある
これらはいわゆる漢音呉音とは別の要因での漢字の二通りの読み方

この話は私にとってとても興味深くワクワクするものでした
以前書いた漢字の音読みの二音目の話に関連するからです
漢字の音読み
これを元に、ワープロの新しい入力方法を考案し
電気メーカーに売り込んだりしました
裏付けとなる理屈と歴史は分かったのはとても嬉しい

拗音
もともとの日本語の発音にはなくて漢字によってもたらされたものに拗音(ようおん)がある
小さい「ゃ」「ゅ」「ょ」です
江戸時代に完全に定着します
ただ、小さく書くようになったのは明治になってからです

拗音の表記は、外国語を取り入れるのにとても役立ちました
キャンプやショック等です
ただ便利過ぎるデメリットもあります
日本人は外国語の発音が下手とされるのは
何でもかんでもカタカナに書いて発音を理解してしまうためです

ここまで来て大きな疑問
これだけ詳しく色々考察してくれているのに
なぜ「ん」について触れていないんだろう
もともとの日本語の発音になくて
漢字によってもたらされた発音の、最も大きなテーマは「ん」だと思うけどなあ
もともとの日本語には「ん」はありませんでしたから
「あまてらすおおみかみ」「おおくにぬしのみこと」
「ん」は使わない
以前に書きましたので、よろしかったら
「ん」がなかった
「ん」がなかった。続き
「ん」がなかった。続きの続き。空海のチャレンジ
「ん」がなかった。続きの続きの続き。「ん」が生まれる

[日本語]シリーズはこちら(少し下げてね)

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