[源平]9 源頼朝、立つ

[源平]1 武士の始まり
[源平]2 八幡太郎義家ここにあり
[源平]3 どっちにつこうかプレゼント大作戦
[源平]4 保元の乱(源平編)
[源平]5 平治の乱
[源平]6 平清盛快進撃
[源平]7 平清盛。おごれるものは
[源平]8 神戸に都を?
の続きです。

源頼朝
源頼朝(よりとも)は、源義朝(よしとも)の息子
平治の乱で、義朝と共に初めて戦に参戦し、平清盛に完敗
長男義平、次男朝長はともに斬首
頼朝も当然そうなるはずだったが
まだ若い頼朝を不憫に思い、清盛の継母、池禅尼(いけのぜんに)が助命を懇願

最初頑として首を縦に振らなかった清盛も根負けし、頼朝は伊豆の蛭が小島に配流となる

ゆめゆめ、おかしな気持ちを起こして私を悲しませないで
毎日仏の道に精進しなさい

言いつけを守り、毎日読経を欠かせない

蛭が小島といっても海に浮かぶ島ではない。
川に隔てられている辺境の地なので地元でそう呼ばれていた。

罪人とはいえ、池禅尼肝煎りということもあって、人並みの生活は送れていた
仏三昧の平和な日々だった

10数年が経ち、その間清盛の栄華の時代
頼朝への警備の気持ちも薄れていく。

女性の出入りも見逃されるようになり
頼朝は女性へ意識が向く
伊東祐親(すけちか)の娘と恋に落ち、子までもうけてしまう。

伊東家は、伊東というくらいなので、伊豆近辺では名の知れた家柄
平家です。

祐親は怒り心頭
源氏の罪人などに大事な娘をやれるか

産まれてきた子供を殺してしまうという凄惨な事件が起きた。

北条政子
それから2年
頼朝、懲りておりません。
配流から20年近くが経ち、頼朝は29歳
運命の人、北条政子と出会います。

そうとも知らず、政子の父、時政は政子の縁談をまとめてくる
相手は、山木判官兼隆(やまきはんがんかねたか)
兼隆はこの地方の目代(もくだい)
目代とは、各地域の領主が、この頃になると現地に赴くことはなくなり
代理人を派遣するその代理人の事

北条家は平家なので、中央とのパイプを強くし、飛躍を図りたいところ。

政子の兄、宗時に尋ねた

最近、政子の様子はどうじゃ
とても良い縁談をまとめてきた
山木判官殿じゃ。申し分なかろう

そうですか、良い縁談だとは思いますが
政子は断りましょう。

断るだと?
何に不足があるという

想うている相手がいるようです。

誰じゃそれは

源頼朝殿にございます。

なんじゃと
源氏の罪人などに大事な娘をやれるか

当然、伊東祐親と同じ反応になりますね

すぐさま、政子を呼んだ。

山木判官兼隆殿と縁談の話がある
嫁いでくれると嬉しいがどうじゃ

はい。父上の仰せとあれば

そうか。いってくれるか

あまりにあっさりなので拍子抜けしたほど

ただ、政子は当時の女性とは比べ物にならないほどの強烈な性格。
あっさり承知したのは計画があってのこと
縁談は父が決めてきてしまっているから、ここで拒否してしまっては
父が嘘をついたことになる
父のせいではなく、娘である自分のせいにする必要がある

一旦嫁ぐ。
但し、その嫁いだ夜に脱走して頼朝の元へと走る
そうすると、とんでもなく非常識なワガママ娘が悪いことになる
ただ、それであっさり済むとも思っていない
大ごとになるだろう。
むしろそれを視野に入れている
源氏と平家の一大決戦
そのきっかけを自分が作ろうと。
時代の大きな変革を
この時点で一人の女性が計画していた。

決行
花嫁がいない!
どうしたんじゃ。何が起きたんじゃ。

織り込み済の大ごと

時政!
どういうことじゃ

申し訳ございません。
私にも何が何やら

その後何度も呼び出され
まだか、まだ政子は見つからんのか

申し訳ございません
八方手を尽くしているのですが
全く手がかりが掴めません
我が子とは言え、私もはらわたが煮えくり返っております。
かくなる上は何としても探し出し
私のこの手で八つ裂きにしてやるつもりです。

その間、政子は頼朝と連絡を取りつつも、別の場所で潜伏していた。

1月以上が過ぎ、山木判官の様子が少し変わってきた。
頼朝が絡んでいると分かったので
平家に対する謀反に等しい。
頼朝を征伐すべく、清盛に文を送る
ところが何の音沙汰もない。
政子や時政に対する怒りが、少しではあるが、清盛に対して向いてきた。

そんな折り、政子の元に手紙が届いた。

少しずつ状況が変わってきている
くれぐれも短慮せぬよう
今はただ、じっと辛抱すべし

何と、父、時政からの手紙

最初から分かっていた訳ではない。
ただ、事が起きてしまったあとで、冷静になってみた
こうなった以上、平家としての出世は見込めない。
であれば、もう一つ別の、全く逆の選択肢もあるのではないか

父から連絡が来ました。
もうそろそろ大丈夫かと思うので
正式に祝言をと思うのですが。

いやまだだ

何を躊躇されているのです。

躊躇などしておらん。
見ているのだ。時代の流れを。
この事は、わしとそなたの二人の問題ではない。
必ず、必ず時が来る筈

行家
また、時が過ぎた
頼朝の叔父にあたる源行家が、山伏の格好に身を変え
密かに、頼朝を訪ねて来た

お懐かしゅうございます。

実は、宮様からの令旨を持って参った。

宮様からとな

奥に行き、それなりの格好に着替えて来た

いや、これは北条時政殿と一緒に聞いていただきたい。

秘密の会合
頼朝としても、行家のお陰で、会いにくかった時政と会う事が出来た。
政子も同席する

話は聞いておる
どうじゃな。わしも見届け人になろう
この場でまずは形だけでも祝言をあげるというのは

二人顔を見合せ、うなづいた。
「時」が来た
時政も異論なし

簡単ではあるがしめやかな儀式となった。

そして、以仁王からの令旨が披瀝される

「立つべし」

時政も異論なし

忙しくなるぞ

続きはシリーズの次回

[歴史]シリーズはこちら(少し下げてね)

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